現在放送されているもので、最も有意義なコンテンツとして毎回チェックして
いるのが、「こころの時代」という番組。週末の楽しみのひとつでもある。
これは思想・哲学・宗教面からこの混迷の時代に生きるヒントを与えて
くれるもので、毎回、さまざまな気づきや発見があり、自分の世界を広げて
くれる。
世の中の人がつまらないニュースを見るよりも、こういったコンテンツに
興味をもってくれたら、とおせっかいながら思える、時空を超えた普遍の
教材だ。
最近、「アフリカの思想」を知るというプログラムがあり、そこで知った
コンゴで活躍する医師、デニ ムクウェゲ氏。
性犯罪が多発し続けるこの国で、女性たちを救い、またその犯罪撲滅の
ために声を上げ闘っている活動家でもある。
生きる道を失った性犯罪の被害者である女性たちの心身に寄り添い、
被害を受けた人たちが、その経験に負けず生きるための支援をするとと
もに、国連で自らの経験を含めた力強いメッセージを世界に発信し、
ノーベル平和賞を受賞した経歴の持ち主だ。
とても情熱的な活動家。ノーベル賞を受賞されたときに、もっと関心を
持つべきだったと反省。
アフリカはもともと固有の風習・文化のなかで歴史を刻んできたが
欧州列国の世界進出・侵略により、多くの国々が植民地となり、
虐げられる歴史を刻んだ。
今思えば恐ろしいことばかりだ。もしかしたら、ロシアのウクライナ
侵略を一方的には避難できないかもしれない・・・。いや、できない。
それらの歴史から引き起こされた内紛、貧困、性犯罪といった、
SDGsが目指す社会の対局にある、生きづらい環境で闘っている一人が
このデニさんだ。
彼は来日した際に、大学での講演・授業を積極的に行い、若い人たちに
アフリカの現実にも目を向けることの大切さとともに、社会に問題があれば、
無関心であってはいけないということを力説していた点が心に響いた。
犯罪があるとしたら、その加害者は当然、責められるべきであるが、
犯罪はどこでも誰にも起こる可能性はある。特定の加害者を非難するだけでは
世の中は変わらない。何の解決にもならない。
さらに物事に「無関心」であること。これでは犯罪がなくならない。
戦争が終わらない原因のひとつはこれ。だから無関心も加害者なのだ。
無関心であってはいけない。声を出す、行動を起こすことこそが平和な
社会のために大切だ。
と、熱く語っておられたことが強く深く心に刻まれる。
無関心。自分には関係ないわ。言うと面倒くさい。言わない方がいい。
見ないふり。責任はとりたくない・・。
と、そんな風潮が今の世の中にあると思う。
昔よりも、情報化社会のなかで、より人間間の距離は、溝は広がっていると
思う。
これでは、いけない。
この尊敬する活動家は言い、また自ら動く。
欧米的価値観に惑わされることなく、世界を広く観ながら、
より確かな道を探し続けよう。
ちなみに、デニさんは日本の「利他の心」が大好きだそうだ。
ああ、同じだ。良かった。
人はだれかのために役に立つために、生まれてきた。
このことが根本にあるから、行動できるのだとのこと。
ここも深く共感する。
その背中を見習って、さあ、自分は何を活動するのか?
さあ、自分は何でもってお役に立てるのか。