受け継ぐしごと、人生。

いろんな企業、事業者さんとの出会いをいただいてきた。
自分で起業し、挑戦を続けている知人も多くいる。
長いおつきあいをしているなか、途中でやめたという人は
あまりいない。みなさん、それぞれ努力して続けている。
自分が選んだ道だから、と覚悟もあってのことだろう。
自分も同じ。自分が決めた道をなんとか進み続けている。
ゼロからの出発。受け継ぐものがない気軽さはある。

一方、先代からその事業を受け継ぎ、それを守りながら
次代に向かうため、どう進むべきかを模索している経営者に
出会うことも多い。
若い時には、家業をそのまま受け継ぐのが嫌で、外に出て修行。
その後、いろんないきさつで戻ってきて、事業を受け継ぐ。
気が付けば今後、どうして進んでいくのか?という帰路にいる。

コロナもあって、変化の激しいこの時代。これからどうしていくべきか?
は、受け継ぐ人側にとって、大きな課題である。
先代が培ってきたものを失うわけにはいかない。維持する、発展させる。
それが受け継ぐ人の使命となる。先が読めないだけに、多くの情報を
しっかり入手しながら、正しい判断をしていかねばならない。

あるカステラ工房。もう15年近くのつきあいになる。
ふとしたきっかけから、知り合いになり、常連になり、応援団の
ひとりとして、時に家族のようにかかわり、行く末を見守っている。
100年企業である。四代目となる。彼らはこの事業をどのように継承
していくのか。何を強みとするのか。
こちらは、職人の腕が命である、この生業。
とにかく無休で、丁寧に丁寧にモノづくりを進めてきた。
おいしいことがわかった人がリピーターとして、長年愛用し続けている。
いろんな試行錯誤はあったけれど、
宣伝広告もしない、多店舗展開もしない。
そこでしか買えないという、こだわり。
商品は、いつでもそこにあり、欲しいときに食べられる。
お客は何も考えず、続いていることが当たり前と思っている。
でも、ずっと作り続ける、提供し続けるということは至難の業。

あって当たり前。
このことを守り抜く。

頭が下がる。

今、四代目となる兄弟たちのことを応援しながら、
この事業の存続、承継のことと、彼らの人生のことも
気になっている。
どうなりたいか、どうありたいか。
変えていく勇気と覚悟ももちながら、守り抜いていくということ。
この両立はなかなかむつかしい。
時々話を聞きながら、
ずっと、この美味しさができる限り長く残っていけるようにと
心から応援する。

仕事と人生。
生まれて自由に道を選べる人と、
進まねばならない道がある人。
プラスマイナスそれぞれ両面あるけれど、
ここから進む、ここから創る。
この点では同じである。
やりがいは自分で創る。
そして、お客様が相手が喜ぶことをしたい。
ここも両者とも同じである。

これからも、ご縁をいただいた企業、そこで頑張る人たちを
自分ができることで、応援し続けたい。
せっかく出会ったのだから。ずっと存在してほしいから。
そして、彼らのしごとだけでなく、人生が輝くものであってほしいから。

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