ピアソラ弾き初め、いい空気。

地球の反対側。日本から最も遠い国、アルゼンチン。写真は、ブエノスアイレス郊外の墓地。
もう10年近く前になろうか、やっと訪ねることができた、アストロ ピアソラが眠る
場所。街中の花屋でブーケを買っていった。ピアソラの眠る場所にたむけることができ、
ほんとうにうれしかった。今はあのマラドーナも同じ墓地に眠っているようだ。

当たり前であるが、まったく土地勘がないため、当時、市内のホテルからここに行くためだけに現地ガイドさんを依頼。なんとHITOMIさんという日本女性が担当してくださったことも今となれば、ほんとうにありがたく、素晴らしい出会いをいただいた。でも、その後は、約束しながら会えていない。
久しぶりに写真を引っ張り出したら、急に懐かしくてたまらなくなり、すぐにでも飛んでいきたい気持ちになる。

なぜ、新年早々に、これらの写真を引っ張り出したか・・・。
それは、ピアソラを弾き初めしたから。急にピアソラの墓地に出向いたころに戻りたく
なったのだ。
ピアソラといえば、30歳前後のとき、渋谷の文化村でコンサートに行き、生のバンドネオンを聴き、魅了された。昨年亡くなったミルヴァとの共演が素晴らしかった。
でも、ほんとうのすばらしさ、奥深さがわかるようになったのは、もっと大人になってからだ。

40代半ばから、アルゼンチンタンゴの音楽が好きになり、ピアソラの数々のタンゴに新世界を感じた。なんと物悲しく美しすぎるメロディーと、絶妙なハーモニー。コード進行がたまらなく、物語的なのだ。
日頃は、時間がとれず、リベルタンゴなど決まった曲しか弾けないが、今日は新年。
ピアノ弾き初めとして、ピアノの脇に積んであった楽譜を順番に音慣らし・・・。
そのなかに、ブエノスアイレスの楽器店で入手したピアソラ曲集があり、何も考えず
ただ、譜面を見ながらそれにあわせて指を動かした。不思議だ。初めての曲なのに知っているような気になる。ああ、なんて美しいんだ。なんて悲しすぎるのか・・・。
ピアソラの頭の中には、女神でも住んでいるのだろうか?と思えるほど・・・。

ああ、こんな素晴らしい音楽家を知ることができ、生まれてきてよかったと
思った。
なぜかピアソラを奏でると、ブエノスアイレスの青い空が浮かんでくる。
いい空気が満ちてくる。

そんなこんなで、弾き初めで、とても幸せな気持ちに。
今年は、ピアソラ研究も進めていくとしよう。
そして、いい空気(ブエノスアイレス)な毎日を創造していくことを
目指すとしよう。

そして、久しぶりにHITOMIさんに連絡してみよう。
「そちらの新年は、いい空気ですか?」

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