ある方がもう20年ほど前に、「売り込む方も大変だろうが、買う方(選ぶ方)はもっと難しいんだぞ」と話してくださったことが今も時々よみがえる。誰もが、売り込むときは必死になっていいけれど、買う方はそれを選ぶ責任があり、その結果もリスキーであり、確かに「買う」という行為は難しいことだと、経験を積むほどに、だんだんわかるようになった。
今もそうだ。自分の仕事のパートナーを選ぶときは、かなり悩む。
さて、今回ある仕事で、ずっとお世話になっている会社をお断りし、自分で開拓し、みつけた新しい会社にお願いすることになった。
これは1回利用して終わりという仕事ではなく、保守点検という仕事になるため、基本敵にはずっと継続する仕事になる。
この切り替えについて、半年ほど調べ、悩んだ。そして、その結果、長年出入りされている会社に「契約終了」と告げた。なんでも始めるときはノリノリで調子いいが、終わりはなかなか切るのが難しかったりするものだ。(世間では結婚より離婚がパワーがいる、難しいとか言うのが同じかもしれない)そして、嫌な役を演じるというのも、パワーが要る。
そして、その会社の機材の搬出、そして新しくお願いする会社の搬入という当日。
大雨が降っていた。搬出にやってきた「今日で終わり」という会社の人たちとは、ちょっとぎこちない感じだ。どう顔を合わせたらいいかもちょっと迷う。でも、今後もいつかお世話になるかもしれないので、いつもどおり対応しながら、最後はきちんと頭を下げ、気持ちを伝え、感謝する。彼らも「長い間、お世話になりました。」と気持ちよく挨拶してくれた。
なんだ、今日がこれまで見た態度、姿勢で一番良かったじゃない。最初からちゃんとやってくれていたら、取引が続いたかもしれないのに・・。その作業担当員たちは任務終了後、雨の中、営業車に乗り、去っていった。車を見送りながら、正直、心がちょっと痛んだ。最初から、きちんと対応してくれたら、結果違っていたかもしれないのに・・。ごめんね。という気持ち。
でも、今回はそこを選ばず、他の会社を選んだ。
お客さんが困っているときに、いかにその立場に立ち、すぐに対応するか、提案できるか。それが営業であり、それが仕事につながる。
ごめんね。と思いながら、他の会社、商品を選ぶというのは、人生のなかに多くはないかもしれないが、なるべくなら、したくない。今回、お別れした会社のあの人たち。またどこかで会う日もあるかもしれない。
少しでも、今回の経験を今後の営業に生かしてもらえたらうれしい。選ばなかった理由も、きちんと説明もしたのだから。
迅速な対応力こそが、これからの営業に求められる資質。メーカーが営業する場合、気を付けたいポイントかもしれない。
ごめんね。でも、営業力、対応力の差。
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