いなくても親孝行!

あるご縁から、地元のデイサービス施設でのコンサートを依頼いただく。
その施設の利用の皆さん、十数名に向けたもの。
タイトルは、管理者の方と相談して「Mahsaのふれあいコンサート」
と名付けたが、ありがたいことに会場もそのようにしつらえていただき、
初対面の方が多いなか、あたたかい雰囲気ですんなりと本番に入ることができた。

施設での演奏は、父がお世話になった施設での演奏から2年ぶり。
コロナもあって、なかなか実現できなかった。
待っていてくださる方もおられたため、昭和の曲も入れながら
一緒に歌える曲も含め10曲ほどレパートリーを用意。手拍子あり、合唱あり、
ちょっと歌声喫茶の雰囲気もあったが、とにかくみなさんよく聴き、よく
ノッてくださった。
とくに自分のオリジナル曲への反応が高く、驚いた。知らない曲なのに
みなさん、すっと入ってくださった。
30分ほどの予定であったが、気が付けば45分もしゃべり、演奏していた。

「ひと・文様」という曲が終わったら、ひとりの利用者さんが、
「素晴らしい。心から感動しました。こんなに心がふるえたことはこれまでの
人生でなかった。高いコンサートに行っても感動しないけど、今日は違う。
こんな人生の終わりかけの私に、本当に、本当にありがとうございました
・・・」と、皆さんの前で発言され、会場もじんわり。
みなさんが、本当に感動しておられることがよくわかった。
演奏が終了してあとも、余韻は消えず、利用者さんからも、施設のスタッフの
みなさんからも歓びの声を多数いただいた。
そのなかで、ある男性の方がスマホをもって近づいてこられた。
「わしは、子供のときから音楽がダメで、これまで歌なんかどうでもいいと
思って生きてきたけれど、今日は、あの歌を聴いて、この絵が浮かんだ。」
といって、スマホの中に入っているラクダに乗って砂漠を歩く人の写真を
取り出し、見せてくださった。あの歌とは、「月の砂漠」だ。
「こんな風に歌を聴いて、絵が出てきたのは初めてや。感動した。」
と力強く言ってくださった。
スタッフによると、この方は現役時代は著名な学者さんだったらしい。

そのあとも、皆さんとしばしお茶をいただきながら懇談。
しっかり会場ではチャリティに協力いただいたわがCDも早速流していただいた・・・。

本当にいいふれあいができた。皆さん、コンサートが終わったら、若返った
そんな感じすらした。そして会場全体があたたかい笑顔であふれていた。
ああ、いいコンサートができた。
キーボード持ち込みで、演奏のインパクトは出せないのが残念であったが、
それでも、感動してくださる方がたくさんおられた・・ということは楽器は
あまり関係ない。
可能な環境でベストを尽くす。ただ、それだけ。

母がお世話になった方も何名か参加されており
「おかあさん、本当にいい人やった。
おかあさん、喜んでみえるわ。よかった、よかった。
今日は良かった・・」
何度も同じ言葉を繰り返しておられたのが心に沁みた。

伝わることが幸せだ。
さらに、磨きをかけよう。
いなくても親孝行。いや、ずっといる。

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