以前にもこのブログにも記載したことがあるが、私が気に入っているこのスタジオの最大の魅力は、深い音を出すスタインウェイと、そしてピアノの真上にある、この天窓だ。ピアノを弾くときは、こちらがたたく鍵盤の音を、広がりと深みのある「尊い音」に変え、そして歌を録るときは、まるでピアフか、ビルへニア・ルーへが自分に乗り移ったように、自分が内側から開かれ、声がのびのびと出て、表情も豊かに出るのだ。もちろんこの天窓を向いて歌うと調子がよく、気持ちいい。
この空に開かれたスタジオのおかげで、私ごときでも、それなりに表現できる気がする。
そして、不思議なことに、レクイエム的なその人を偲んだ曲を歌うときには、この天窓に、今は亡き友人たちが集まってきて、「MASAKOがんばれ、今尾がんばれよ」と、空から手を振って応援してくれているような、そんな錯覚にも陥る。
そう、天と自分を結んでくれる・・・私にとって、そんな貴重な空間。
とにかく、抜群なマイク(専門外なので知識はないが、本当にいい声が出る。もちろんスタジオ自慢)と、天空の窓。おそらく世界にも類を見ない、音づくり工房だ。スタッフにこの窓の感動を話すと、「そうか~。じゃ、『この窓をピラミッドパワーが出る』とか言ってもっと宣伝しますかね」と笑うが、本当にこの窓はアーチストに縁起がいいと確信する。
そう、こんな最高な環境で録るのだから、もっともっと事前準備してきたら、もっとすごいのができるのにね。と反省することも毎度のこと・・。そして、次回はもっといいのを!と今回の収録を終えての充実感と次回への課題を抱き、スタジオを出る。
また、きっと近いうちにあの窓に会いに来る。
喉と心を開く、天空の窓に再び。
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