広島生まれ、世界のデザイナーに感謝の祈り。

特に好きなデザイナーはと聞かれたらすぐ答えることができる。
川久保玲、山本耀司、そして三宅一生。
学生時代から、ずっと憧れ、大人になり・・・今も愛用している。
バイトでためたお金でセールに出かけ求めたコート、ジャケット・・・。
初めて、自分で働いたお金で買った歓び、変身したような気分・・。
あの時の感動は、今も忘れない。
いいものは高いが、長く使える。

洋服そのものも素晴らしいが、デザイナーの豊かで自由な創造性、
美的感覚・・・、仕事に向かう姿勢、生き様がカッコイイと思った。
ほんとうに刺激を受けた。
なかでも、イッセイミヤケは、社会人になって、とくに独立してから、
仕事をする服として、好んで着用するようになった。
見た目ももちろん重要であるが、機能美という点で、卓越した発想力が
素晴らしかった。
出張の多い日々を支えてもらった。
衣類の軽量化、洗濯の簡便性、速乾性など、現代人のライフスタイルに合致した
洋服を開発し続けたのが、イッセイ。
まさにファッションを文化にまでおしあげた功労者のひとりだといえる。
パリやNYで、イッセイの売り場をみつけると、とても誇らしい気持ちになった
そんな記憶も、昨日のことのようだ。
(海外では国内よりも、かなり高値で販売されていた・・)

世界に名を馳せたイッセイブランド。
インバウンド全盛時代には、品切れ続出の商品もあったが、
コロナで観光客が激減、閉店する店舗もあり、かなり影響を受けているのだと
心配していた。

そんな折、近年、都内に文化発信の拠点を作られたことを知り、安堵した。
(先日ここでも書いたが、)クリストの凱旋門を包むアート展を見学し、
イッセイの世界的な文化支援という活躍について、世界のイッセイ!の存在を
わがことのように誇りに思った。
コロナ禍であっても、発信をとめないその気概に、らしさを感じた。
そして、お元気なのかな?と気にはなっていた・・・。


そんなイッセイさんが原爆記念日の前日、8月5日に亡くなっていたことを知り、
衝撃を受けた。
広島出身の三宅さん、どんな思いで・・・。
ニュースで知ったとき、なぜかしら、しばらく涙が止まらなかった。

いつも、演奏の場面では、イッセイの洋服を、
講演のときもイッセイの洋服を・・・。
出張のときも、ちょっと改まった席でも・・。
気が付けば、イッセイワールドに包まれて生きてきた。
きっと、そんな方も多いことだろう。

私のドタバタ人生は、イッセイの洋服とともにあった。

イッセイ ミヤケ。
本当にお世話になった。
この四半世紀の間に撮った写真を見ると、どれだけ身近な存在であったか。

「これが一番。なんといっても、軽いからね~。私ら年寄りにはこれがいい」
毎日、着用されていた先輩のクリエイターがそんな風に絶賛されていたのを
思い出す。
かっこよい、しかも使いやすい。これは活動する女性たちにとって
ありがたいツールだったのだと思う。
と、そんなことも今回思い出した。

これからは、感謝を込めて もっと大切に使わせていただこうと
思う。
世界の女性に、男性に着る快適美、感動を与えた人。
長くこのブランドが、これからも創業の理念を受け継ぎ、
永久に、世界の人々に愛され、生き続けることを心から祈っている。 

それにしても、悲しみが続く、2022年夏・・・。
大好きな人、尊敬する人たちの旅立ちを感謝の気持ちで
見送りながら・・・。




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