いつでも、世界旅行の贅沢。

コストをかけない世界旅行。しかもタイムトリップも含めて・・。
そんなことができることに気づかせてくれたのは、コロナ。

2020年1月以降、パスポートを使うことがなく、渡航のチャンスを
持てないまま、まだしばらくは、難しい。
そんなこの2年半の間に、覚えたのが「ピアノ」で出かける世界旅行だ。

弾きたい曲で行きたい国へ行き、会いたい人に会える。
これはなかなか面白い。
たとえば、ベートーベンのピアノソナタ8番を弾きだす。
すると、ベートーベンの生家のことが浮かび、その町ボンの
駅前からその家までの道のりが頭に浮かび、とくに12月の町
の賑わいが出てくる。さらには何度も出向いたベートーベンの
お母さんマリアさんのお墓も出てきて、ありがたい気持ちが
高まり…。

次はバッハの昔懐かしいインベンションを弾きながら、
コロナの直前に駆け込んだ、アイゼナハの駅が浮かび、
バッハハウスまでの道のりと、このミュージアムがとてつもない
観光地になっていて驚いたことを思い出し・・・。
帰りの電車に遅れないようにと走りながら、道を尋ねた人達の
親切さが懐かしくなり・・・。

次はショパンの即興曲などを弾きながら、ポーランドで
生まれ、パリで亡くなったショパンの物悲しい半生を
想像し・・・。ワルシャワがまだ行ったことがないが、
パリの亡くなったヴァンドーム広場を思い出し、ロマンチック
な気分に浸り・・・。

旅の締め。せっかくなので、と足を延ばしNY経由で
アルゼンチンに行こうと
おもむろに、ピアソラのオブリビオン(忘却)やリベルタンゴを弾きだす。
そうピアソラはNYを拠点にしながら、いつもふるさと
アルゼンチンのことを思っていたから・・・。
ブエノスアイレスの街並みがパノラマのように浮かび
タンゲーラ店内、あの老舗カフェのスタッフのこと
など・・・昨日出会ったかのように蘇る・・・。

とそんな具合に2時間ほど次々と各地を巡り、その地で
作曲家たちに出会い、また実際に出会った人たちのことも
思い出す。

経験があるからできることだ。コロナ前の経験は宝。

本当に、豊かな気持ちになる。
免税店も食事もついていないが、本当に楽しい旅。
いつでも行ける。コストもいらない。

これからも、思い立ったらいつでも行けるように、
ベートーベンやショパンやピアソラに会えるように、
もっと練習を積まなくちゃ。

人は、想像と妄想で結構楽しく生きられる。
さあ、次はどこの誰に会いに行こうか。


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