思わず涙の、お囃子の音。

仕事で数えきれないほど京都に出向いているが、
この連休は足止め。
静かなところで過ごしている。
でも、少しだけあの賑わいが気になって、祇園祭りのライブ中継を
ちょっとだけ見てみる。
大変スローで躍動感とは対極にある、お上品なおまつりの生中継
というのも、解説が大変だなと思いつつ、それは流し聞きしながら、
お囃子の音に注意が向く。

ああ、懐かしい。ああ、懐かしい。
本当は生で聴きたかった。

そして、馴染みの四条通などを鉾たちが巡業していく様を
見ながら、なぜか涙があふれてきた。

はじめて京都に来たときに、初めて観た感動。
学生時代は四条麩屋町のビルにあった企業でバイトをしていたため、
そのビルから鉾を眺め、興奮したことが蘇った。
会社員時代のこと、そして独立してから祇園祭りのときに
四条木屋町を上がったところの会員制クラブで
ライブをさせてもらったときのこと・・・。

私の青春がまるごと蘇り、今は亡きお世話になった方々や
友人のことを思い出し・・・。
そこに、あのお囃子の響きが加わる。

どんな感情も静かに収めてくれる、不思議な音色。
これが、京都どすえ~。

多くの人が鉾巡業を見守る様子を涼しいところから
眺めながら、
あっついやろうな~。
でも、それが京都の夏。
この祭りが終わったら夏本番や。

とひとり解説をして・・・。

2年実施できず、久しぶりの祇園祭。
それはそれはおめでたいこと。
心からおめでとさんどす。

でも、コロナが心配。
きっと感染者も増えるだろう。

でも、開催できてよかったと思う。

ああ、泣けてくる。わたしの祇園まつり。

今日の京は、その余韻を楽しむお客さんでまだまだ賑わっている
ことだろう。

まだあのお囃子の音が、頭の中で鳴り響いている。

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