マーケティングリサーチにおいて、定点観測は重要だ。
同じ場所(機会)を時間を変えて、見続ける。その変化で
見えてくるものがある。市場を見るには大変有効だ。
同じように、人や企業に対しても、この定点観測は大変役立つ。
たとえば、企業であれば、株主総会のような毎年開催される
行事において。
(もちろん、どんな行事でも良いけれど)
ある企業の株主を20年近く見続けている。
その間には議長(社長)の交代があったり、その取り巻きの
役員さんたちも世代交代を繰り返し、
業績の推移もあり、その時代その時代の重点課題があり、
この企業がどんな変遷を経てきたのかが良くわかる。
またその時代時代に活躍される人たちの変化、軌跡も
よく見える。
そして、企業とはまさに事業成果を問われるものであり、
社会的存在価値を求められ続けるものであり、
人の成長をとともにある存在であることにも気づかされる。
総会は議長の采配がきわめて重要だ。
(もちろん、どんな会合でも、進行役が果たす役割は大きいが)
議長の議事進行の運び方、間合い、場の盛り上げ方、そして
突然発せられる株主の質問に対する、役員たちの冷静なる
回答ぶりを見ながら、
企業側のコミュニケーション力や姿勢、そして受信する側(株主)
の反応をみる。どんな答え方をするかによって、場の空気が変わる。
この瞬間は見ているだけでも、緊張する。
この質問者は満足しているかな?納得されているかな?
どんな答え方をするかによって、株主の反応は変わる(こともある)
し、対応の仕方によって、その企業のファンになることもあるし、
その逆もありえる。心して答えねばならないから、その準備は
大変だと察する。
ステイクホルダーのなかでも、もっとも重要な存在である株主との
コミュニケーションの機会。
株主総会は、その貴重な場である。
人と企業の定点観測。
ひとつの事象を通じ、人の変化を、企業の変化を見続ける。
このことは重要である。
人は仕事を通じて、経験を重ねて、成長するものだ。
企業はまさに人なり。
そんなことを思う今日。今年前半の最終日となる。