両親の最後のツーショット写真が出てきた。
撮ったのは、私だ。
2020年10月29日とプリントに印字されていた。
そう、父の84歳の誕生日~今から思えば最後の誕生日~の翌日のもの。
コロナでなかなか面会を許されなかったこの時期に、誕生日だからと
施設の方に無理をいって、夫婦での久しぶりの再会を果たした。
お互い、コロナで疲れていたのもあるのだろう。本当に言葉もなかった。
でも、なんとか記念撮影をした。
一生懸命、写ってくれた。それが最後の共同作業になった。
元気な頃のように、一言いえば喧嘩になる・・・そんな勢いもなく
ただ、一生懸命カメラに顔を向けるのが精いっぱい・・・。
この1年後には、二人とも旅立っていた。
今回、その1枚が出てきて、この最期の記念撮影のときのことを
思い出し、まさかそのときが最後と思っていなかったため、思いが
こみ上げる。
この撮影が、久しぶりの、そして最後の対面に・・。
半世紀以上連れ添った仲であったのに、それでお別れ。
会えなかったのは、コロナのせい。
二人とも早く逝ってしまったのも、コロナのせい。
もっとちゃんと挨拶したかっただろう。
いや、もっといっぱい会って、話したかっただろう。
いた、本当は二人でもっと長く暮らしたかっただろう。
このふたりの最後の1枚を見て、思わず涙。
まさか最後とは思っていなかっただろう。
だから、挨拶もなく・・・。
でも、これが最後になった。
でも、今は再会して、話しているだろうか。
そうだといい。そんなことを思いながら、最後のツーショットを
フレームに入れた。
最後の記念撮影。
誰もそんなことを思わず、写る、撮る。