どんな言葉を人になげかけるか。
その一言が最後のセリフになることもある。
意図せず、人は無意識に言葉を発し、また聞いているが、
あとになれば、それがやたら重い意味だったりもする。
生きているときは、動き続けているから
とくに印象に残らなくても、あとになると
とても心に響く一言だったことに気づくこともある。
この1年余り、母との会話を思い出すことが多い。
最後の言葉は
「やっぱ、長生きせなあかんな。
昌子さんと喧嘩せなあかんで」
これを思い出すと、今も泣けてくる。
これが、まさに私にとっての遺言となった。
今思えば、母の最後は、心に残る言葉ばかりだ。
「レッツゴー。レッツゴー。おもしろいな。で、なんや、それ」
トイレにちゃんと行くようにという意味で、「レッツゴー」という言葉を
連呼したら、笑顔でマネをしていた。
そうこうしている間に、トイレにレッツゴーではなく、
父と一緒に天国へレッツゴーとなってしまったから、笑えないが。
まだまだ母が残した言葉は無数にある。
どの言葉を思い出しても、泣けてくる。
言葉はすごい。言葉は永遠なのだ。
そう形がなくても、残っているのだ。
とくに、言葉は重要だ。
どんな言葉を遺すのか?意識して伝え、また耳を傾けたい。
いつ、遺言を発することになるかもしれない。
私にとっての遺言とは、世間でいうそれとは違う、
本当に人生のラストワード。
それは、今日かもしれず、誰に向けてかもしれず。
だから、大切な人とのコミュニケーションをしっかりとりたい。