朝から面談をし続け、時間が足りず、お昼時間も人と会う。
もともと平日はとくに、ランチをとらないことにしているため、
お昼時の仕事はまったくへっちゃらであるが、面談相手にしてみたら
「お昼ぐらい休んだら?」と言う声も聞こえそうであるが、相手が
その時間でも会いたいと言ってくれたら、アポを入れることにしている。
今回、そんななか、お昼でも会いたいといってくださる男性社員。
では、12時半から20分ぐらい話しましょう。と言う感じで軽く
約束。
時間になると、その人はコンビニの袋らしきものを持って応接室に
入ってこられた。そして
「これ、今コンビニで買ってきたんですけど、どれがいいですか?」
と袋の中の商品を出しながら、見せてくれる。
みたらしだんご、わらびもち、抹茶プリンが入っていた。
「へ?わざわざ買ってこられたん?」
「はい。今尾さん、お昼食べないと聞いたので、これぐらいやったらと
思って。一緒に食べましょう。どれがいいですか?」
とすすめてくれる。
「え?わざわざ買ってきてくれはったんですか・・・。」
「今尾さん、和菓子が好きやと聞いたので・・・」
「へ?誰がそう言ってはったんですか?」
社内の人にきいたら、そう答えてくれたそうで、彼はわざわざ
和菓子をセレクトしてくれたのだ。
正直、和菓子を食べる習慣はないが・・。それでも、なんだか彼の
その気持ちがたまらなくうれしくて、
「じゃ、みたらし、いただきますね。これ、もらっていい?」
「どうぞ、どうぞ~。じゃ、ぼくはわらび餅」
と言って、お互い和菓子を一口ほおばり、話をして、また一口。
和菓子が子供の頃から苦手な私であるが、このみたらしは、
タレがきらきら輝いて、もちもちしすぎないさっぱり感で
なんだかとってもおいしく感じた。
会社からコンビニはそんなに近くないはずなのに、わざわざ
この15分か20分の面談のために、私のためにスィーツを買って
きてくれたとは・・・。
なんだか、とってもうれしく、ほんわかした時間。
そんななか、仕事や人生に関するプチ相談。
和菓子が前にあるせいか、会話もまろやかで、まさに和みの世界。
心素直に話せる感じ。
相手もよく、話を聞いてくれる。
和菓子やお茶をいただく瞬間、外されるマスク。
ああ、この方はこういうお顔だったんだ~。
もう何年もマスクをしている顔しかしらないため、
新鮮な感じもした。
「もっと成長したいんですね。人から頼られる人になりたいと
思うんです。」
「いい目標だと思う。じゃ、そうなれるように努力して。
そうそう、上司にもそんなこともしっかり伝えて、自分をよく
理解してもらうようにしたら?」
などなど、会話も弾む。
わずかな時間ではあったが、いい時間を過ごさせていただいた。
あわただしく、御礼もそこそこに、次の面談に入ったが、
帰り道、電車を待つ時間、ずっとあの和菓子スィーツを
彼がテーブルに並べる様子がくりかえし思い出された。
どんな気持ちでコンビニで、あの3品を選んだのかな・・。
どれが好きかなと思って探してくれたのだろう。
「いつも、いただいてばかりですから・・・」何もしていない
のに、そんな風に気にかけていただけるとは。
みたらし王子から、思いがけぬ
いいおもてなしの時間をいただいた。
最近、そんなうれしいおもてなしを、いろんな方から
いただいている。
本当に幸せだ。
普段見せない顔を見せてくれる。
そんな瞬間を大切に、本気の、本音のコミュニケーションで
相手に感謝をしながら、そして勇気づけることができたら、
本当にうれしい限り。