ひとり何役できるか?

最近、あるホテルのことが、気になっている。
コロナの影響で営業制限が続き、スタッフも削減。
日本有数の観光地、京都は近年、観光で繁栄してきた町であるため、
その影響は町の財政を揺るがすほどになっている。
深刻な事態だ。なんとか応援したい。

大変厳しいこの時期を過ごされ、やっとの回復の兆し。
宿泊客もレストラン利用者も増えてきた。
本当に何よりだ。
ある日の夕暮れどき、バーの前で、ひとりのスタッフが立っていた。
バーテンダーさん?呼び込み?をされている。
「本日より営業開始しております。よろしければどうぞ」
なんでも2年間営業していなかったが、やっとの再開で
お客様にそれを伝えるために、お店の入り口で案内を
されていたのだ。
その方の声掛けが気になって、そのバーに入ってみる。
初めての利用。コロナがなかったら、入ってなかったかも
しれない。
「店の前に立っておられたので、入ってみようと思って」
と告げるととても喜んでくださって、会話も弾んだ。
そのスタッフは、昼間は隣接するカフェレストランで
勤務されている。
昼はレストラン、夜はバーと一人二役。
限られた人数でうまくシフトを組み、回しているようだ。

一方、そのホテルではコロナ禍での新たなおもてなし企画として
敷地内の中庭で、夕方から焚火をしてコーヒーを
もてなすというサービスを開始している。
夕暮れから焚火とはなかなか素敵で、近寄ってみる。

2名のスタッフが担当されている。1名は黒服で、1名はアウトドアのスタイルだ。
そのお二人、1名は人事総務の方、もう一名は国際営業の方であることがわかった。
できる人が、何でもやる。
おひとりはボーイスカウト経験者であるからキャンプの知識も豊富だそうで、
まさにそれがコロナ禍の新サービスに活かされたというわけだ。

火があることで、人が集まってくる。

コロナ禍のなか、お客様に喜んでいただく企画を考え、それをうまく回す工夫には
人の有効活用が不可欠だ。新しいことをやるから、人も追加という状況ではない。

アウトドアスタイルで、焚火に新たな木を追加していく後ろ姿を見て、
コロナの苦労から発想された新サービスに感動するとともに、皆さんの努力に思わず
じんわりした。

柔軟に生き抜くためには、これしかできない。
では通用しない。
もてる力を合わせて、いかに工夫するか。
ひとり何役もできる。そんな組織は強いのだと思う。
もちろん組織に限らず、個人でも同じだ。

私自身も、何役できるか?
臆せず、その役柄を増やしていこうと思う。

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