実家の近所に住んでいるひとりのおばちゃん。
私が小学生のころから、
「まさこちゃん、まさこちゃん」とよく声をかけて
もらった。
今も会えば、そう言われる。見た目は昔とさほど変わらない。
でも、間違いなく半世紀からのお知り合いであるから、
もう80歳に近いお年頃だろう。
ほんの1分、立ち話をして「またね」と言って別れる。
そのおばちゃん。最近やたらとよく会う。会ってしまう。
ドラッグストアの駐車場を歩いているとき、
ご自宅の近所を歩いているとき、、自宅の前で
立ちすくんで誰かの帰りを待っているような?
なんでそんなに外にいるんだろう?
そして、先日は雨のなか、玄関から外に飛び出してきて
集めたらしき枯葉を抱えて、家の前の側溝の穴に必死に入れる
様子を発見してしまい、驚いた。何してるの?
「おば・・ちゃん・・・」
そのときは、思わず声をかけるのをやめた。
おそらく、認知症が進んでいるのだろう。
もしかしたら、よく近所で会ってしまうのは、
徘徊されているから・・・かもしれない・・・。
「おとうちゃんとおかあちゃん、残念やったね。
まあ、それだけ仲良かったんやね」
と半年前の会話はまともだったが・・・。
「お父さん、死んでしまった。わたしはついてない女や」
へ?おじさん亡くなったのは、ずっとずっと前の話なのに?
時間軸がおかしくなっているようだ。
おばちゃんはいつも待っている。
息子の帰りだろうか。亡くなった旦那さんだろうか?
とにかく、最近よく会うが、とにかく普通に接するようにする。
「おばちゃん、元気?」
「またね。おばちゃん」
いてくださることで、自分の子供のころを思い出し、
両親のことを思い出すこともできる。
老い方は人それぞれだ。
自分の四半世紀後を想像し、やはり今からできることを・・・
と思ってしまう。
「またね、おばちゃん」