飲食店。いいお店というには、空間、や料理、接客は、もちろんいうまでもなく重要である。
あるチェーンでは、HDCをかかげ(Hospitality,Delicious,Cleanlinessの略)独自のおもてなし
活動を推進しているが、私はこれ以外には、感性への響きに注目している。
とくに音楽だ。お店のなかでどんな音楽が流されているか?はお店に一歩入ったとたん
そっちが気になってしまう。飲食店に限らず、デパートやスーパー、駅・・・。
お店や公共空間すべて音楽が気になる。
話を戻す。
飲食店での音楽。
大好きなのは、クラシック音楽が流れている店。ときにジャズが静かに流れているのもいい。
お店の空間とマッチしていると最高で、京都の老舗喫茶店には店のしつらえとともに、
音楽もきちんとしているそんな店もある。
一方、個人の好みとは別であるが、最近感心したBGM。初めて入ったお店だ。
それは、コロナで好調の「一人焼肉の店」の店内に流れるBGM。
それはなんとパンクである。ずっとビートの効いたパンクの響きが、店内によく馴染んでいる。
ひとり焼肉であるため、お客の会話はあまりなく、スタッフの接客の声や、料理ができた
というチャイムの音など・・・そのなかで、切れ目なくパンクが流れ続けている。
このビート感が、店の隠れた主役のように、わりと主張している。
肉を焼く、ジュージューという音と不思議とマッチしている。
「なんで、パンクなんやろう」。
そう、ビジュアル的にもパンクと焼肉のイメージは見事に合致する。
いけいけー、もっといけー。
なんとも攻撃的な、前のめりな感じ。
ガンガン肉を焼いて、さっさと食べて、満腹になって
さあ、お会計へ~。とそんなメッセージを感じるのだ。
ひとりで焼肉を食べるその空間にパンクミュージックとは!
おひとり様たちをこのBGMがつないでいるとも感じ取れる。(笑)
いやはや、これはお客の食欲アップと、スピーディーなリピートオーダー、そして回転率にも
影響があるとみた。(この分析はおそらく正しいのでは)
もし、演歌がかかっていたら、まったりされてしまうし、肉を焼く手も止まってしまう。
店にとってはゆっくりしてもらっても困る。おひとり様に続々ご来店いただきたいのだ。
これまでジャズが流れていた焼肉店には行ったことがあり、ここはちょっとインテリアも
おしゃれでたっぷり2時間ぐらいお邪魔し、それなりの金額を消費したが、このおひとり様
焼肉では、2時間はとてもいられない。そして、談笑しない分、焼いて食べるだけであるので、
追加注文も進む。客単価も悪くない。
いやはや、いろんな意味で合理的で計算されつくした、この焼肉店、お見事だ。
コロナ感染拡大が始まった頃「今こそ、ひとり焼肉」
と店頭に大きく掲げていたのも印象的だった。
パンクと焼肉。コーヒーとクラシック、洋酒とジャズ。
食べ物と音楽の関係をたどると、店のおもてなしと経営感覚がうかがえる。
そういえば、「さくらさくら」の琴を今だに流していた和食レストランもあったが・・・。
音楽と食欲と回転率?
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