桜満開。そのなか、春祭りが各地で開催されはじめている。
コロナで我慢してきたこの2年。もういいだろう。やるなら今のうち。
今できる方法で・・・。とそれぞれ工夫、対策されての実施。
たまたま、地元で由緒あるお祭りが開催されていた。
タイコやお囃子といった、祭りを盛り上げる音楽が駅前のステージで
演奏され、集まった人々が「待ってました」といわんばかりに拍手を
おくる。屋台も立ち並び、通行客も楽しそうに各店を覗き込み、
店の人との交流を楽しむ。
みこしパレードもあるようで、主催者や地元のメディアも張り切って
準備を行う。みこしは久しぶりなのだろう。はっぴ姿のお兄さんが
張り切る様子を見て、こちらにもまつり気分が移る。
商店街も久しぶりに活気をおび、なんだか皆がにこにこしている。
人出がある、賑わいというのは、やはりいいことだ。
ああ、春だ、まつりだ。
コロナであっても、みんなできる方法で楽しもうとしている。
間違いなく、今は前に進んでいる。立ち止まっていない。
春はみんなが動き出す季節・・。
そして、まつりを楽しめるほど、日本は平和だ・・・。
いろんな思いを抱き、その様子を見聞きしていた。
ふと、父や母の現役時代の元気な姿が蘇った。
地元のまつりが彼らの一大イベントであり、
毎年張り切っていた二人のことを思い出し、
ああ、もういないんだ・・・。
そう思ったら、賑わいのなか、泣き出したい気持ちになった。
これは、たまらん。
そして、お囃子のそばから離れた。マスクの中で口をぐっと結んだ。
ハレの場であればあるほど、今はまだつらいのかもしれない。
楽しい日々を思い出すから。
ちょっと甘酸っぱい春まつり。
まだまだこの感情は消えないのかもしれないが、
無理しなくていい。
涙は春風が飛ばしてくれる。
ちょっと泣き笑い、ちょっと複雑・・・。
それもよし。
涙は、雨が洗い流してくれる。
祭りは今日も続く。
今のおまつり気分。
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