岐阜の柳ケ瀬という、往年の繁華街、今はちょっと寂しいけれど、
それでもがんばっている商店街に出向き、最近仲良くなった
82歳の妙子さんがいる食料品店に立ち寄る。
すると店先になんと、とれたてのつくしがパックに入って売っていた。
「はかま」が付いたままのもの1パック150円、すでに「はかま」がとってあり
あとは料理するだけのものが400円。安すぎ!
思わず、子供の頃を思い出し、考える間もなく、
「はかま」をとっていない方を2パック購入する。
「これ、二つも買っていいかなあ」
「いいよいいよ。買って買って。
でも、はかま、ついとるよ。はかま取るの、めんどうくさいよ、大丈夫?」
妙子さんが心配してくれる。
「うん。いい。はかま、自分でとるわ。懐かしいなあ。
子どものころ、よく取りに行ったよ。堤防の土手とかに生えていたなあ」
「そうやそうや、よく昔は取りにいったねえ。なーつかしいね―」
妙子さんと母はほぼ同い年。だから、母と話しているみたいだ。
とてもうれしくなって持ち帰る。
そして、夜遅くなってから、ちょっと緊張しながら
久しぶりにつくしのはかま取りをする。
なかなか根気がいる。無雁から実はあまり上手にできなかった。
はかまをとっているところから、切れてしまう。でも、まあいい。
この間ずっと、母と一緒にやったはかま取りのこと、母がつくってくれたつくし料理の味・・・を思い出していた。そういえば、私が大人になって
時々帰省したときに、つくしの煮たものが冷蔵庫に入っていると、
うれしくてすぐ飛びついたこともあったなあ~。
これぞ、おふくろの味であった。
つくし。春の訪れ。つくし、母とまた会えるひととき。
今日は味付けをして、また 母に会う。あの味と一緒にはならないと
思うけれど・・・。
春に出会う、母にまた出会う。
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