「生きとるだけや!」「生きとるだけでいいやん!」

無事、今年初めての公演は無事終了。ミニコンサート。
人数少な目、時間短め。だからミニコンサート。
でも、演奏はミニではなく、ひとりオーケストラのつもりで。
この季節は指がかじかんで、ピアノ演奏はちょっと厳しいが、
慣れてくるころに終わり。
ともかく、多くの拍手、「楽しかった!」「オリジナル曲は泣けてきた」
と多くの声援をいただき、次回の予約も何名かされていった。
皆さん、笑顔でお帰りになって、本当に良かったと胸をなでおろす。

開催日が1日2日ずれていたら、今回もコロナで中止になっていたかもしれない。
ギリギリセーフの開催、良かった。

そんななか、長年応援いただいているご夫妻がいる。
もう10年以上、コンサートやライブには足を運んでいただいている。

そして何十年も応援していただいている。
旦那さん、だんだん耳が遠くなってきて、ほとんど聴こえていないようであるが、
それでも積極的に足を運んでいただける。
おじさんは、ずっと演奏する姿を見ながら楽しんでくださっているのかな。
何か見ているだけでも、楽しいのかな。
と思い、見ているだけでも何か感じてもらえるようにと、
動作を大きく意識したり表情豊かに・・とは心がけるが、
本当に楽しんでもらっているのかな?と
ずっとずっと視線が気にはなるが、とにかく楽しみにしてきてくださる。
しばらく、体調を崩され、1年近くお目にかかれなかったが、
今回は久しぶりに奥様に連れてきてもらい、なんとかご参加。

帰りがけに声をかける。
「何をするにも時間がかかって、遅れてごめんね~。」
ミニコンサートに行くことが大仕事になっている・・。
しんどくても、夫婦で協力しておいでいただけることに、じんとなる。
「お元気ですか?」
「もう、生きとるだけや!」
昔のように体が思うように動かなくなったということを指しておられるのだろう。
すると、奥さんが
「いいやん、生きているだけでいいやん!」
と一言。

ああ、いい夫婦だなと思った。
「老々介護で、こっちも疲れてきたけどね」
と言いつつ、それでも一生懸命、旦那さんのお世話をされているのだ。
奥様の運転する車で帰っていかれるのを見送る。
「元気でね!また来てね~」
お互いに手をふる。

そう、生きているだけで!十分。
生きていると、死んでしまうのは、大違い。
また会えますように。
聴こえなくても、きいてもらっている。
そんな気がしている。
来るだけで、元気になれる!
そんな演奏ができたらと思う。
どんな人にも伝わる、そんな演奏、表現を目指していきたい。

生きているだけでいいやん1
だから、今日も元気にがんばろ!

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