冬の長崎港。空は雪を待つせいか、いつもの青空とは違い、重々しい。
前方には造船工場が見える、港町長崎のひとつの顔でもある。
この近くにある、旧香港上海銀行の長崎支店の洋館に今回も引き寄せられる。
明治時代の港町の繁栄をしのばせる、ロマンとノスタルジーあふれる空間。
この建物は、今となれば、私にとって大切な宝物、思い出の場所である。
長崎で初のコンサートの会場。しかも観測史上初の大雪となった日の
開催となったこと。それだけでも貴重な経験であるが、そんな雪のなか、両親たちが、飛行機やバスを乗り継いで、ここまでやってきたことが、今となれば生涯忘れられない思い出となった。そう、岐阜から団体さんでやってきたのだ。
長崎観光とコンサート見学を兼ねたツアーを企画、実施したあの日。今から思えばよくそんなことできたな、すごいな。と、我ながら思う。
大雪のなか、皆さんバスから降りて、この洋館に足を運ばれ・・・。
しばし、音楽とともに暖をとっていただき、長崎でのタイムトリップを楽しんでいただいた。その後は大雪の中、高台にあるほテルでの宿泊を急きょキャンセル。嬉野温泉方面へと雪でも安全な場所への移動となり、「気を付けて、岐阜に帰ってね~」と、雪にまみれながら、バスを見送ったあの日を思い出し、じんとなる。
今なお、コロナでコンサートやイベント再開ができない状態のこの洋館に、再び足を運び、あのときの思い出をたどる。前回来たときは、母が旅立った後、そして今回は父も・・・。二人のことを、この空間で思い出したら、
また、必ずここでやろう!と気持ちがわいてきた。
どこに行っても、何をしても、思い出がありすぎる。
心のなかのアルバムがあふれそうであるが、このようなハレの日の思い出は
より鮮明だ。
長崎、音楽、旅、ノスタルジーそして雪。
2021年の締めくくりには、最高のステージだ。
いつか、再び、ここで。新たな約束=目標をまた追加する。