喪中はがきコミュニケーション。

喪中はがきというのは、考え方によってはその取扱いが難しい。
訃報を知れば、知らぬふりもできず、何か気を遣わせてしまうのではとか
余計なことを考え、でも、お知らせせず、年賀状も届かないことで
ご無礼なことになるから・・・。
これまでも、お世話になった方が亡くなったと、そのご家族からハガキが届くと
何らかの返信をし、お会いしたことのない先様に、お悔やみの気持ちを届ける
ことはあった。

と、これまでは、受け取ることしかなかったこのハガキ、今年は、人生初の喪中はがきを出すことになった。

届いた直後から、いろんな反応があり、正直驚く。
お手紙が届く、メールが届く、宅急便が届く、いきなり携帯へ電話もかかって
くる。「これで、お花を供えてください」との郵便も届く。
とっさに行動された方、思わず筆をとられた方・・・。
皆さま本当にそれぞれにご心配いただき、また両親の冥福を祈ってくださる。
喪中はがきの反応のほとんどが、親と面識がない方だ。

ある方からは、ピアノの絵柄が入った紫色のかわいらしいクッキー缶が届いた。
中に入っていた手紙によると、親と私の共通の思い出はピアノだから、何かないかと探していたらそれをみつけたから・・ということだそうで、
添えられていた手紙を読んだら、思わず泣けてきた。

どれもこれも、本当にありがたいお言葉、お気持ちで、
今回の親のことに際し、いかに皆さんが優しい気持ちで、接してくださっているるかということがじんわりと沁みてくる。

喪中はがき1枚でそこから新たなコミュニケーションがはじまることもあり、
改めて、その相手の懐の深さを知るきっかけにもなる。

このように、この1週間、とても幸せな、心あたたまる
ありがたい時間を過ごさせていただいている。

「このハガキ、いい匂いしますね~。私も紫好きなんですわ~」
ちょっとしたことで、新たな関係がはじまる。

そこはかとない悲しみは、これらの優しさによって、生きる力に昇華されて
いく。



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