生涯で最も長い1か月、そして。

年をとると、時間が経つのが速い。という。
確かにそうだと思う面もある。
とくに毎年この頃になると、「もう11月?」「もう1年終わり?早いですね~」と、そんな会話も多く流れる。

しかし、私にとっては、今年はとても時が経つのが遅いというか、
1日1日が長いと感じる1年になりつつある。
まず両親の介護について(といっても、多くの皆さんにお世話になってのことであるが)、日々違うメニューを頭に入れて対応しながら、仕事や演奏活動もしながら、毎日毎日気ぜわしく動き回っているうちに、母が、そして父が・・と旅立ってしまった。
その瞬間、それまで毎日あわただしく過ぎていった時間が、日々の習慣がストップした。
父、母どちらが亡くなったときも、しばらく時が止まったような感覚になった。

しかし、その間もだからといって何もしなかったのではなく、
頭も体もフル回転で、悲しんでいる間もなく、次から次へとすべきことをし、
立ち止まることはなかった。
自分で背中を押しながら、どんどん目の前のことに向かっていた。
毎日毎日それをこなして1か月。

「もう1か月も経つのか~」ではなく
「あれ?まだ一か月?もう何か月も前のような気がする・・・」
と思うぐらいに、この1か月を本当に長く感じている。
やっと終わったいう感覚かもしれない。
とくに、一番長く感じたのは、親が亡くなって葬儀が終わるまでの時間かもしれない。確かに普段と違う時間感覚であった。不思議な感覚だ。人生であまり
経験できない貴重な時間。

それらを含めたこの1か月。もしかしたら、人生で一番働いた、濃厚な時間なのかもしれない。しかも、決して慣れない仕事続き・・・。
1日24時間×31日。日常生活ではテンポよく流れる時間が、非日常になると
静かに重くゆっくり進んでいくような感覚。

ともかく、そんな1か月を経て、次へ進む。
これから新たな時間を重ねるにつれ、人生の時間への感じ方はどう移ろっていくだろう。

きっと、今年は生涯で一番長いと感じる1年になるだろう。
そしてそれ以上に、ずっしりと貴重な経験と思いが詰まった、
生涯忘れることのできない、永遠の2021年になるだろう。

心の中で生き続ける両親とともに、
自分の遺された日々、残された日々をしっかり仕上げていきたい。



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