カレンダーと新たな記念日。

新潟の野花を描いたきれいなカレンダーが届く。
毎年この時期になると、その花のごとく、そっと届く、
ありがたい季節の贈り物である。

今年の分は、年初から実家の母の部屋に掲示して、きれいな野花の絵を
みつめる母に、「これは、Tさんが送ってくれたよ。覚えとる?」と
話していたが、3月にその部屋の住人は不在となり・・。
その部屋にある、もうひとつの書き込み式の大きなカレンダーは、
母の介護生活の日課などを記すために使っていたが、3月で
その役割を終えたが、今なおページをめくらずに、そのまま飾ってある。
そう、時が止まったまま。

一方、野花のカレンダーは、4月以降も毎月めくりながら、使用。
各月のお花のイラスト部分は、切り取ることができるため、
この絵に文字を書き込んで、父への絵手紙として毎月、施設に届けていた。

10月に父も母も不在となってからも、この野花のカレンダーは静かに
実家の壁に咲いていた。

そこで、届いた2022年バージョン。

「来年から、ふたつの新しい記念日が増えますね」・・・。
とお手紙に添えられており、心がじんとなる。

そうか、今年のはじめまでは、家族には誕生日しかなかったのに、
命日という記念日がふたつも増えてしまったのか。

誕生日と命日。
大切な人を送るということは、記念日が増えるということだ。
こんなこと、生まれてから考えたこともなかった。

愛らしい野花が描かれたこのカレンダー。
やっぱり、実家の母が最期まで、そして今は二人が住む
実家の部屋に飾ろうと思う。

もうすぐ2021年が終わる。という実感がわいてきた。
今日も大切に生きよう。
今日も、世界中の、誰かの記念日だ。

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