東京時代に発見した、神田の居酒屋。あまたある飲食店の中でも、奇をてらうことなく、ただただ美味しいものを提供するお店として、人には教えたくない店として、お忍び利用をしていた。結果的には、いろんな人をお連れしたり、しっかり応援団になり、また社長さんとも仲良しになり、彼のふるさと山口でのザビエルコンサートのご協力もいただいたり・・と切っても切れない仲になった。
大繁盛店であったため、コロナの打撃は本当に大変であった。
それでも、弁当ややきとり、やきとんのテイクアウト専門販売も始めて、
知恵を絞り、会社全体で乗り切ってこられた。そんな1年半、時折声をかけ、私鳴りに応援してきた。
久しぶりに顔を出す。
コロナ明けと言っていいかわからないが、コロナ後、やっとの平常営業だ。
神田は平日が勝負だ。
週末ではないが、祭日前と言うこともあってか、満員。
お客さんが生ビールやチューハイを次々オーダーしている。
店員さんもてきぱき、忙しく動き回る。
「まだ、カラダがついていかないですね。」
と、うれしそうに店長が応えてくれる。休むことなく、ずっと次々注文されてくる焼き物を担当。これが子のお店の看板商品だ。
客席は、まるで、昔の居酒屋風景を映し出した映画のように、サラリーマンらしきお兄さんたちが、ジョッキ片手に語っている。久しぶりでうれしくてしょうがないという空気が店内にあふれていた。これが、居酒屋だ。
なんだか、とても微笑ましい感じがした。
前と違うのは、お店の換気と、テーブルの消毒液。
みんな、待っていたんだ。この時を。
外食は、もういいかな。
と名古屋にいると、そんな感じがしていた。
居酒屋というコミュニケーションが前提になる飲食店という業態は
もう難しいのではないかと思っていた。
でも、やっぱり、待っている人がいる。
「まだまだ前のようには戻りませんが、
常連さんに支えられて、だいぶ戻ってきました。」
社長も、普段のパワーを取り戻し。いきいきされている。
当たり前であった日常を失った時間があっただけ、
この日常がよりありがたく、幸せに感じられる。
「やっと、これで仕事できます。働けます!」
目を輝かせて女性スタッフが言ってくれた。
再会の喜びとともに、彼ら彼女らが、いきいき仕事を
していることが、本当にうれしく感じられた。
居酒屋。
待っている人がいる。
それは、コミュニケーションしたい人。
その観点からお店を観察しながら、この状況がずっと
続くようにと心から願い、カンパイ!
「また来るから、元気にがんばってね!」