苦悩と創造力。

人間の力は本当にすごいと思う。
ちょうど、今はノーベル賞発表の時期であり、
発表されるたびに、いろんな分野で地道に努力された人たちの存在を知り、
感心する。
人はいろんな方面に才能の花を咲かせることができるが、
最近、改めて心うたれるのは、
長い時間を経ても、愛される作品を生む人たちのこと。

たとえば、
クラシック音楽の世界では、250年以上前から今も尚、愛されている名曲と
それを生んできた音楽家たちがいる。
本当に古典ってすごいと改めて思う。決して古臭くならない。
古いけど新しい。普遍だけどモダンや、挑戦も感じる。
優しい気持ちになったり、心揺さぶられたり、さまざまな感情の旅に
出ることができる。
人間の根底にある精神性を表現しているから、構成が建築的で緻密であるから
飽きることなく、人々を感動させるのだとも思う。

そんな素晴らしい作品を書いた人たち。
よく見ると、その人生は波乱に満ち、苦悩に包まれていた人が多い。
ベートーベン、ショパン、シューマン、リスト、ブラームス、チャイコフスキー・・・。
普通に生きる道を許されずか、自らそういう道を結果的に進んだのか、
幸せとは背中合わせの、世間ではマイノリティーな生き方をした人たち・・・。

純粋すぎる人たちだからこそ、そのように生きざるを得なく、またその悲しみや苦しみを乗り越えるため、曲を書き続けたのだろう。・・・と想像する。
作曲することで、自分の世界と向き合った、その人生。
さまざまな苦しい思いが美しいハーモニーを生んだ。
その曲は、長年、聴く人々の心をとらえ、感動を呼び続けている。

ただ平穏で幸せな人生を生きたならば、あのような深い、美しい、
作品は生まれなかっただろうと思う。

苦悩があるからこそ、人は純粋に愛を求め、その思いが美しい作品になるのだろう。

創造力の発揮というのは、楽しい世界ではなく、孤高であり、苦悩の日々があってのこと・・と思うと、改めて先人たちの素晴らしい作品への向かい方も変わってくる。
無駄にしてはいけない。
私たちが生きるために、活用させていただき、より内面を深く、強いものに
していかねばと思えてくる。

改めて、苦悩に満ちた芸術家たちに、心からの敬意を表したい。
今、これらの作品に触れているひとときが、とてもありがたい・・。

人はその一生で、何を残すのか・・・。今、とても考えさせられる。

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