聞く賞味期限。

歩いて20分圏内に、一軒の豆腐の工房がある。
業務用・給食用にも製造しているが、直売所もあり、近所の人々が絶えず
買いにきている。一度買えば、直売所故の安心感、お手頃感で、なんども
買いに来たくなる。店の前に、自転車が止まっているのをみつけると、
今日も直売所、やっているなと、すぐわかる。
それが町の工房の魅力だ。

デパートや町に出れば、高級な豆腐も多く販売されているが、
それにひけをとらない、いいものが安く販売されている。
市価の3割は安い感覚だ。もめん、きぬごしだけでなく、くみ豆腐、おぼろ豆腐から、えだまめ豆腐、長いも豆腐と、バリエーション豊か。どれも美味であるが、とくに気に入っているのは、手作りゆば。あげも種類豊富で、あげだし豆腐にはたれまで付いて売っている。
親子夫婦二代でやっておられるご様子。
ご年配の男性(お父さん?)が店主だろう。

夏の暑い日に寄ったときのこと。
「これから2~3時間歩くので、保冷剤入れてもらえますか?」
と言うと、
「これは、魚と違うから、それぐらいの時間は常温で大丈夫」
そうなんだ。豆腐って腐らないんだ。
なるほど。
ではそれに従い。そのまま常温で持ち歩いたが、確かに問題なかた。

次は、昨日の話。
「この豆腐、賞味期限っていつですか?」
商品のパックに何も書いてないので、きいてみると
「まあ、だいたい3~4日」
という答え。
なんだか大雑把であるが、カンタンには腐らないと言いたいようだ。
実は、この賞味期限、前にも聞いたが、一貫して同じ答えが返ってきた。

スーパーなどで買う商品には
シールがパッケージに貼ってあって、
原材料から賞味期限まで書いてあるが、ここの豆腐は違う。
シールも何もいらない。

店主のこの言葉を信じればいい。
こちらのお店の豆腐の情報は、店主からの一言だけ。

豆腐は、昔、鍋をもって買いに行ったり、車で巡回販売に来ていた時代もあった。そのときにパッケージにシール貼りなんて、存在しなかった。
作り手の存在が見える商品ということでの安心感があり、
何かあれば、聞けばよかった。

数少なくなってきた、町の豆腐やさん。
ここに、安心安全の食べ物の在り方が残っている。
信頼のモノづくりと 工房とお客の関係が続いている。

心から大切にしたいこの関係、この存在。

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