昔、とにかく黙って人の話が聴ける方がいた。とある、女社長さんだ。
どんな相手の話でも、「あ、そう、そう」と静かに聞かれる。人の話を絶対に
否定しない。途中で遮らない。静かに「あ、そう、そう」。と頷いて受け入れておられた。周囲の人々は、その人を指して
「あの人は、ほんとうに空気清浄機のようで、人の話を聞いて、すっきりさせてくれるね」と評されており、なるほど。空気清浄機か。と納得し、またそんな風に自分もなれたら・・と思っていたが、当時はそんな風にはなれなかった。
そして、最近、私はいろんな企業さんとお会いし、お話しをお聞きする機会が
多い。おそらく30年前、20年前、10年前・・・。時間を重ねるごとに、人の話を聞くということが増えていると思う。
さまざまな仕事をする、いろんな人のいろんな言葉…。眼に耳に入ってくる。
それを受け入れ、戻す仕事。
その課題や悩みに対して、的確な答えを出すことは重要な仕事。
そして、その前にはしっかりよく聴かねばならない。
とにかくいろんな人生、仕事の断片が入ってくる。生の言葉。そして吐き出したい言葉は、言葉の生ごみ。
時にはそんなものも受け入れる必要がある。
もちろん単なるゴミ箱ではダメで、そのゴミをどうにかしないといけない。
リサイクル、リユースできるようにキレイにして戻していくことも時には必要。
なかなか、この言葉のゴミ箱は、回収が大変であるが、ゴミ箱がないと、
人の心が汚れる。
受け入れる力。これには大変なパワーもいる。タフでなければ、多くを受け入れられない。
もっと大きなゴミ箱にするか、素早く処理できるようにするか。
コミュニケーションに悩む人には、ときにはそんな役割も必要だ。