名古屋と岐阜を行き来する日々。
この1年半は、とにかくよく往来した。
そしてこの半年は、母によく食べ物をもっていった。
にんじんサラダ、漬物、リンゴのスライス、そしてかやくご飯に、
ちらし寿司。
日々配達いただくお弁当と内容がだぶらないように、
朝食用と小腹満たし用に持参、冷蔵庫に常備した。
ひとりで朝ごはんを食べることができるように、ご飯類は
おにぎりにして冷凍。他に何もないときにチンして
食べてもらった。
デイサービスから戻った母が、冷蔵庫の中を見て、
「あれ、わしが食べていいのかな」
と電話できいてきた声が、今も聞こえてくるようだ。
主人がいなくなった、キッチン。冷蔵庫。
中身がほとんどなくなった冷蔵庫の扉を開けると、
私がつくった冷凍のおにぎりが入っている。
かやくごはんのものだ。
おそらく最後の方に届けた食事だ。
私は思わず、その冷凍おにぎりをつかんだ。
ああ、まだあったんだ。
母がいつも「おいしかった、ありがとう」と言っていた。
レンジですぐ、解凍した。
冷凍おにぎりの温め方を母に教え、
あつあつを食べられるように、すすめていた。
ごはんは炊き立てじゃなくても、美味しく食べられることを
改めて知った母は、たいそう喜んだ。
・・・と、そんなことも思い出された。
レンジアップしたそのおにぎりを、今度はこっちが
フーフー、「あつっ、あつっ」と、いいながらいただく。
母もこのおにぎりを、こんな風にして食べていたのだ。
「美味しいね。美味しいね。」
確かに、美味しい。
まさか、冷凍したおにぎりで、母との思い出がよみがえるとは
思わなかった。
また、このかやくごはんのおにぎりを作ろう。
そうすれば、いつも思い出せる。
母と食べる。いろんな場面を思い出す。
食の思い出は、悲喜こもごもに・・・、永遠である。