「響き」への願い。

この2週間。わが辞書に加わった言葉がある。
それは、「響」という一文字。
母の法名にと、お寺様に命名いただいた中に使われた一文字だ。
これは、仏教の言葉から選んでいただいた一文字とのことで、「こう」
と読むそうだ。
この「響」という文字。ぱっと見て、「あ、これは母のこと」と思える一文字である。よく付けてくださった。お寺様が生前の母のことをよく見ておられたからの命名であろうと感激し、また気に入った。

響くとは、コミュニケーションでもっとも大切なこと。
普段から、「『伝える』より『伝わる』が大事」なんて言い続けているが、
「響く」とは、伝わる以上に、一体感があり、コミュニケーションの目指すべき姿であるといえる。
響くとは、心にじんわりと入ること。
伝えたことが、感動につながるという意味にも解釈できる。
広がりのある言葉だ。
そして、音楽でいえば、交響曲(シンフォニー)と壮大なイメージもある。
もっと平たく、広くいえば、調和の言葉。
母は、最高の名前をいただいた。

これから「響き」を大切にしよう。
耳をよく済ませて、世の中のさまざまな音にも気持ちを傾けたい。
響いているか、響き合っているか。

響きとは、「ハーモニー」。
これからは、この言葉を大切にしながら、生きていきたいと思う。
不協和音を自分でつくらない。
むしろ、不協和音が聴こえたら、音の一部を変えて、より響き合うようにする。

そういえば、20代のとき、ある広報誌のネーミングに提案した言葉が思い出される。
「夢・ハーモニー」。
これも響きを大切にする言葉だ。なんだか、つながっていると嬉しくなる。

ウイスキーの名前にも付けられたこの「響」。
なんとも堂々としていながら、落ち着きもあり、心落ち着く言葉。

響き合う世の中に。
そんな思いをもちながら、自分も響く人として生きていきたい。
よく響く、お坊様の読経の声を聞きながら、
この「響」に心を向けていた。

この響きを大切にする時間こそが、母とのこれからの対話になるのかもしれない。


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