何も変わらないのだ・・と。

私の人生において、一大事が起きた。
それでも、世間は何も変わらないように見える。
駅には、町には、電車には・・・、どこもここも、何も変わらない
普段の風景。我関せずという感じで、普段の時間が流れている。

この町のどこかで、私と同じような経験に遭遇している人も多くおられることだろうが、それでも町は、個別の哀しみとは無関係に、春の賑わいを見せる。
町全体が沈んでいないことが、せめてもの救いといえる。
何もなかったように、若者たちが新しいスタートに忙しい。
ああ、みんな生きている。私も何も変わらなくていい。
そんな気持ちになる。

大切な人が長い旅に出ても、その人を忘れなければ、その人はずっと近くで生き続ける。という考え方をずっと信じている。
親友の死も、お世話になってきた大好きな人たちの死も、そのように自分のなかで受けとめてきた。

もういない、と思うとつらいけれど、何も変わらないと思えば、気が楽になる。

ちょっと留守するけど、ちゃんとやってよ。
ただ、それだけのこと。
何も変わらないのだ・・・。

今はそう思えるように、変わらない風景をいっぱい見ることにする。
私がもっと強くなれる修行のときかもしれない。



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