あれから10年、再会も新たな出会いも・・・。

3月11日。携帯に、未登録の番号から電話の着信。誰だろう?もしかして?
「もしもし。あっ、お元気ですか?ご無沙汰しています~」
電話の主は、大船渡の老人ホームの施設長さん。約4年ぶりに聴く声。
「お花、届きました~!」ささやかな気持ちでお送りした花が無事、届いたようだ。震災後、二度ほど、地元の知人のご紹介で、この施設で演奏会をさせていただいた。それ以来ご無沙汰であったが、毎年この日が来ると送っていた花もしばらく途切れ、今年こそはと・・。10年だからとの思いで。
無事届いてよかった。少し会話をして電話を切ったあと、携帯にこの画像が送られてきた。
なんとピアノに向かう素敵なおばあさまと、届いたお花。
今、この施設で暮らしておられる御年93歳の方で、音大出身で今も現役!
なんと施設にご自身のピアノを持ち込んで毎日演奏されているとのこと。
まさに最近考えていた、理想の老後の生活スタイルの見本!
演奏の動画も一緒に送られてきた。ピアノは凄い生命力を、人に与えるのだと感心し、見事な演奏に聴き入った。演奏されるおばあさまは若々しく、素敵だ。
おばあさまも、きっとお花が施設に届き、気持ちよくピアノに向かってくださったのだろう。

3月11日。忘れてはいけない悲しみの日。10年が経過し、状況も変化して、
「今は震災のことよりも、コロナ対策が大変で・・」と施設長が話されていたが、まさに10年前と違う世界が今、目の前にある。

震災がなかったらこの施設に伺っていなかったかもしれず、今回のような再会、またピアノを奏でる素敵なおばあさまの存在を知ることもなかったかもしれない。
3月11日で再会、また新たな出会い・・。をいただくこともある。
それが生きているということだろうか。

優しい花が、被災地の皆さんに思いを伝えてくれていることに、改めて安堵した。こんなことしかできないけれど・・・また新たなカレンダーがはじまる。

悲しみや苦しみを乗り越えて、その先にあるもの・・。
この10年の時間が、新たな学びをくれている。

さあ、93歳のピアニスト目指して、私もがんばる!なんだか力が湧いてきた。

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