施設に暮らす父へ時々持ち込む、差し入れ。
コロナで面会制限があり、食べ物を差し入れても直接食べさせられないため、出来る限り、スタッフの方にお手間をかけないようにと、カステラを切ったものとか、プリンとか、食べやすいものを持参。
会えないので、手紙を添えて・・と思いながら、毎回写真付きの手紙をつくる。
今回は母と一緒に写った写真を添えて作成。今回は3回目。
母にそれを見せる。
「お父さんのこと気になっているんやったら、ここにお母さんもひと言書いたら?」
最初は、拒否していた母が、
「お父さんのこと、好きなんやったら、一言書いてあげたら?会えんし。」
とペンを渡すと、
「マジックやと、間違えたらあかん。鉛筆がいい」
と言った。へ?書く気があるんだ。
鉛筆を渡すと、母はその余白に
「敏子 がんばりましょう」
と書き始めた。
その行動に、正直、びっくりした。母が文字を書いたのを久しぶりに見たのだ。
「こんで、いいかな」
「いいやん。これ渡してくるわ」
目が見づらくなり、書くこともしなくなった母が、珍しく鉛筆を手にとったことに驚いた。
やはり、夫婦なんだなとうれしくなった。
施設にもっていき、受付で手紙を渡すとき
「ここ、母がサインしたので、そう父に伝えていただけますか?」
とスタッフに伝えた。笑みがうまれた。
母の願いが思いが、鉛筆のサインで父に伝わっているかな。
だと、いい。
自筆のサイン。やっぱりいいものだ。
大した親孝行はできないが、こんなこと続けられたら。
※添付は、サインをする前の手紙。サインしたものはすでに施設にお届け。
写っている写真は、まだまだ若く元気だったころの両親と地元ライブの会場での1枚。