この季節は、わくわくすることも多いが、まさかの報せが舞い込む時期でもあり、内心どきどきでもある。
静かな秋の夜、1枚のはがきが届く。喪中はがきだ。
心臓がとまりそうになる瞬間である。
30年前に、初の海外出張(初めての海外渡航)のチャンスを与えてくれた上司が、11月8日に亡くなられていたとの報せが届いた。
つい最近のことではないか・・・。
2年前までは、年賀状が届いており、毎回、手書きで近況やエールのメッセージが添えてあり、いつか会いに行かないと・・とずっと思っていた。
住まいを名古屋に移したあとの年賀状には、「ふるさとが近くなりましたね」
と書いてあった。
この方のおかげで、私は25歳でNYに足を踏み入れる機会をいただいた。もし
あのチャンスがなかったら、このような人生にはならなかったと思う。
マーケッターだったら、NYには行っておくべき、若いうちにいろんなものを見聞してくるべきと、当時女性の出張が稀であった時代に、背中を押して社内を説得してくれた。
今思い出せば、当時の海外出張、とくに視察が多い出張の場合は、なぜか上司たちがお餞別?までくれた・・という不思議な慣例もあり、今思い出すと懐かしいが、とにかく25歳の若き時代に、世界への目が開かれたことは、この上司のおかげである。
「あんたが行くべきだ」
あれから、30年以上、影からずっと見守ってくださっていた。
そういえば、一度、お宅にもお邪魔したことがあったと思う。
今、書きながら、当時を思い出し、しみじみ感謝の気持ちが湧き、
涙があふれてくる。
82歳。親たちと同世代だ。
このコロナ禍で、人生を終えていく人生の先輩たち。
心から感謝し、ご冥福をお祈りする。
こうやって大切な人たちが、旅立っていかれることが悲しいが、あらがうことが
できない。
だから、今できることを、ちゃんとしないと。
人生には、いろんな局面で自分を支えてくださる多くの方がいてくださることを
絶対に忘れてはいけない。
そして、遺された者が、いただいた教えや贈り物を忘れずに、しっかり元気に生き続けること。