都内に、お気に入りのミュージアムがある。
目黒美術館だ。独自性に富む企画が魅力的で、よく足を運んできた。
コロナの影響で、今年はどこのミュージアムも閉館期間が長かったが、その間、
各館では、自分たちが今だからできること・・についてあれこれ企画を練って
おられたことと思う。
もともと企画していた作品展を期間を変更して実施するケースが多いが、
この美術館は小回りが利くのか、まさにコロナから生まれた企画を開催している。
LIFE ~コロナ禍を生きる私たちのいのちと暮らし~
という展覧会である。
当館が所蔵している絵画を、コロナ禍で私たちが感じた、考えたさまざまな日常をテーマごとに整理し展示している。
感染症への恐怖、生死、生還について、自粛生活から見えてきた、ありがたい日常生活のあれこれ~旅、演奏会・・・~家族、愛、夢・・・。
まさに2020年。これまで体験したことのなかった、暮らしのなかで考えた、感じたことを数々の作品を通じ、自分たちがこの時代を生きている、生きていくことの大切さを教えてくれている。
そんななか、感動したのが写真の作品。
これは、来館者たちが参加するアートだ。
会場に紙でつくったマスクが用意され、希望者がそのマスクにメッセージを書き、この作品の中に、貼り付けていく。大切なことは隣のマスクと繋がっていくことだ。マスクをひとつのツールとして、想いをつなげていこうとする素敵なアート。
早速メッセージを記入されている人もいた。
コロナへの想いや、この企画の感想まで・・・書かれていることはさまざま。
印象的だったのは、コロナを否定的に受け止めていない声が意外に多かったこと。
中には、ずっとコロナでも良い。というメッセージがあった。理解できなくもない。
LIFEとは、アメリカの有名雑誌のタイトルでもあり、なじみ深い英語であるが、人生、いのち 両方の意味をもつ、深いワードだ。
MY LIFE・・・。
そう、コロナはこのことをしっかり考えるきっかけを与えてくれているのだ。
この美術館、地味な存在ではあるが、本当に素敵なメッセージを発信続けている。
今日は、文化の日。アートの意義、役割を今こそ、かみしめたい。