「待っているよ」は元気の源泉

施設に入所する母に渡してほしいと、お世話になっているご近所の方から封書を受け取る。
その方は90歳を越えるおばあさま。親から受け継いだ自営業を担い、今も現役で電話番・金庫番といいながら、しっかり会社を見守っておられる。
その方が、仲良しの母に手紙を書かれた。

母に届けると、うれしそうに開封しようとする。こういう時に限って、糊が強くてなかなか開封できない。こちらで手伝い、中に入っているものを確認。手書きのお手紙とお見舞いが入っている。手紙は大変きれいな文字で書かれている。

母が「読んで」というので、手紙を受け取り、ゆっくりと読む。
母が入所してしまい、話し相手がいなくて寂しい。
早くまたおしゃべりしましょう。
ライブのことや(私のライブ)、そのほかの楽しい思い出のことが綴られ、
そんな日がまた来てほしい・・・と綴ってあり、
別紙に、楽しかった思い出を綴った詩文も入っており・・・。
読ませていただいて、こちらが泣けてきた。その方がどんな思いで、年下の
友人のことを思って筆をとられたかと・・・。

そして、母にすぐお礼の電話をするよう促し、こちらがかける。

「受け取ったわ。ありがとね~」
母がそういうと、スマホから先方の元気な声が漏れ聞こえた。
「あんた、病は気からというから、元気に戻ってこなあかんわ~」
90代の先輩に、母はそう激励されている。
「来週、自宅に戻れるので、その時寄るわ~。」
元気な自由世界と、閉ざされた介護の世界・・。
いよいよ、母は社会復帰!この手紙のおかげで、それがより現実のものと
なった。

母は幸せだ。
待っていてくれる友がいる。
まもなく、自宅へ復帰。その一歩として、ありがたいギフト。

待っていてくれる人がいる。
これは、一番の生きる力の源泉だ。
それにしても、この手紙のおばあさまには、脱帽。こんな人になりたい。



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