梅干しとライブ。

新しい施設でお世話になりはじめた父。
環境が変わるというのは、もともと ずっと地域の実家で暮らしてきた
父にとっては、慣れづらいことと察する。
最初は帰りたいと、周囲にご迷惑もおかけしたようだ。
その気持ちがわかるだけに、罪悪感や複雑な気持ちもあり、
どうしたら、新しい生活が楽しくなるかを考え、いろいろ試してみる。

まずは、150色の色鉛筆。
最近、ぬりえが好きになっていたので、また始めてくれたら・・と。
プレゼントしたが、あまり乗ってこなかった。
そういう気分ではないようだ。

薄味の食事に慣れない・・・。この不満に対して、
梅干しや、つくだ煮海苔、ふりかけなどを持参する。
これが意外や意外、ヒットした。
喜んでこれを毎食使うことになり、食事への不満もなくなり、
食事を楽しむようになり、施設の人や、他の入所者さんにも
「梅干し、食べるか」
と振舞おうとしているようだ。
良かった良かった。思ったより早く消費されるので、補充が
必要であるが・・・。

さらに、日々お世話いただくヘルパーさんたちにしきりに
娘のピアノの話をしているようで、
演奏をする娘の存在は父にとっては大きい?
施設での不満がつのらないうちにと、
この施設のデイサービスで、演奏ボランティアをと思いつく。
「お父さん、ここでライブやったげるね」
この一言に食いついた。
「いつや、早くやってくれ」
とせっつく。今月中にはまず1回目のライブをするはめに。

梅干しとライブ。
今は父の関心事であり、これがあれば、おとなしく暮らしてもらえそうだ。
まず梅干しと海苔を欠かさず、そしてライブはちょっと人質ライブ?のような感じもするが、まあ、いいか。
外出してのライブ参加が難しくなったのだから、せめて父や父がお世話になって
いる皆さんへ・・・

何をすれば相手が喜ぶのか。ちょっとした知恵、ひらめきはすぐ行動に!
相手の笑顔を見られることが一番のやりがい、いきがいだ。

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