脱サラ以後、出張も増えることになり、あるきっかけで利用しはじめた、あるホテルチェーン。アメリカが本社であるが、もちろん国内にも多くのホテルブランドを有する。
昨今、ホテル業界も再編成がすすみ、そのチェーン名も変わり、傘下のホテルもずいぶん変わったが、ずっとお世話になってきた予約係の担当者がいる。
その方とのおつきあいは、もしかしたら十数年かもしれない。前任者も含めれば、20年近いおつきあいになると記憶する。
メール1本で、予約からさまざまな問い合わせやリクエストに対応いただいたり、変更、キャンセル、さまざまな無理も随分言ってきた。メール対応のため、顔こそ見えないが、どんなときも丁寧に対応してくださった。
基本はメールだけでのおつきあい。急ぎのときは電話。そんなまさにオンライン基本のおつきあいであったが、私のなかでは、そのホテルチェーンがある限り、その担当者はいるものだと思い込んでいた。自分のなかでは、そのチェーンの予約係といえば、イコールその方であった。
月日は流れた。そして、このこのたびのコロナの影響で航空業界やホテル業界の苦難を知るにつれ、大丈夫かなと気になってはいたが、おいそれといって、今、海外にも行けないし、国内出張もやっと最近再開したところ・・。
そんなところ、その方から届いた1通のメール。
なんと、退職のお知らせであった。しかも9月末日。メールが届いたのはその前日。
ついに来てしまったか・・・。残念すぎる・・・。
思わず、予約専用ダイアルに電話する。今日はその用事ではないが・・・。
メールでのお礼、ご挨拶ではなく、やはり生の声をきき、話したかった。
お礼を伝えたかった。
これまでお世話になったさまざまな思い出がよみがえり、電話口で涙声になるほど感謝の気持ちがわいてきた。NYの同時多発テロのときのホテルキャンセルやさまざまな手続きを遠隔でサポートしていただいた時代のことなど、そのホテルチェーンとの思い出が蘇る。
「たったひとりのお客としての出会いでしたが、これからもぜひおつきあいくださいね」とお伝えでき、喜びのお返事をいただく。
サービス提供者とお客。ほとんどのケースは退職やそこを利用しなくなるとそれで関係が終わるが、わが人生では、最初、客としてはじまったつきあいも、その後長きにわたり続いていることも多い。ホテルマン、エステの方、飲食業・・・。サービス業のお仕事をされている方とのきっかけは多く、またいい出会いも多数いただいてきた。人生の大切な宝である。
今回のこの方とも、これからをきっかけに、改めてつながっていたいと心から思った。
今年はコロナをはじめ、さまざまな変化により、出会いや別れも多いかもしれない。でも、大切な人とのご縁をデジタル的には終わらせたくない。
余韻を大切に、大切につなげていきたい。
Gさん、長らく本当にありがとうございました。
ホテル業界に興味をもてた原因のひとつは、間違いなくその窓口対応の質の高さにあった。窓口は常に会社を代表するのだ。入口が良ければ全てよし。
京から10月。新たなはじまりだ。WITHコロナで深まりゆく秋をポジティブに。
コロナを越えて、つながりたい人との関係を大切に・・・。