ブランディングのシンボルとしての印

印といえば、篆刻の思い出がある。脱サラしたあと、台湾の篆刻家に、グラン・ルーの印刻をオーダーした。丸いものと、四角いものの2種をつくった。
確か丸いものは、商売がうまくいく、四角いものは信頼性を高めるなど、それぞれカタチにも意味があると聞いた記憶がある。それ以来22年間、それを大切に仕事の場面で使ってきた。

そして、この画像の観覧車は、グラン・ルー15周年のときに上海出身の篆刻・書家の知人がつくってくれた、篆刻。こちらも石を彫ってつくられた芸術品。もちろん印として使っている。

ハンコのルーツは、本来はその存在を示す大切なしるしであり、まさにブランディングの証。私はこういう者であるということを一目で伝える、まさにサインであり、重要なコミュニケーションツール。
その歴史をひもとけば、メソポタミア文明の時代から存在していたというから数千年前の長きにわたり、人々に受け継がれてきた。とくに中国においては、国という形ができた殷時代からこの文化があったそうだ。
確かに、日本のハンコ文化も もともとは中国から伝来した。その歴史も紀元後まもないようで、2000年以上の時間、脈々と受け継がれてきた。

現在、日本でのさまざまな手続きでこのハンコの使い方の手間が、問題になってきており、どうやら、このたび印鑑は廃止されていくようだ。デジタル化の波はこの業界にも及ぶ。

実印はどうなる?など、疑問はいろいろあるが、日常的な手続きはどんどんハンコレスで進んでいくことだろう。

ふと、ずっと応援してきている地方のハンコヤさんのことが思い起こされる。
知り合いの店主は、数年前より、本事業を多角化したり、譲渡したりさまざまな取り組みをされてきた。この流れを予測されていたのだろう。
そのハンコヤさんに、お世話になっているからと、ひとつハンコをプレゼントされたことがある。
今尾昌子と書いてある立派な印鑑。彼がつくってくれたとうれしく、最近よく使わせていただいている。

と、印鑑についてはいろんな思い出があり、それぞれにつくる人の顔が浮かぶ。
一律に、なくなっていく・・ということで思うことはあるが・・・。

印鑑とは、意志や存在を示す大切な印。
デジタル化で大切なものが失われないように。
何より、印鑑の文化はなくしてはならない。と思う。



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