実家に向かって最寄り駅からひたすら歩く。雨のなか、田植えをしている人
の姿が目に飛び込んでくる。久しぶりに見る光景だ。雨の中、頭が下がる。
田んぼは、子供の頃の方がたくさんあった。私が岐阜を出てから、たんぼがどんどん宅地となり、住宅が立ち並び、田んぼは点々と、その間にとり残された。
その残った田んぼで、今もしっかりお米が作られているのだと、田植えの人を見て感動する。
子どものころは、この時期になると、かえるの大合唱も聞こえ、時折、その中から一匹が道にぴょんと飛び出てきたり、庭のあじさいの葉っぱにかたつむりをみつけて・・・そんな自然の動きから季節を感じたものだ。
長らくそんなことも忘れていた。
最近は実家やその付近での用事も多くなったため、子供の頃に歩いた道を通ることも多い。小学生の頃の、中学生のときの、高校時代の・・・私の若き日、それぞれの時代の通学路。
18歳までの私の日々が、歩いた道とともに、今、蘇る。
それぞれの道を歩くと、40年~30年前の「まさこちゃん」に出会えそうだ。昔の同級生や近所のおばちゃんたちは、いかがお過ごしかと、あれこれ思い出す。
今、昔歩いた道が、近く、懐かしく感じられる。
また、ここを歩けてよかった。晴れない心になりがちな日も、懐かしさにふれ、ホッとした気持ちにもなれる束の間の幸せ。
そして、これまできた道を歩きながら、これから進むわが道についても考える。
きた道、戻ることはない。でも思い出すことができるこの時期こそを楽しみたい。