ミッション・パッション・クリエーション

以前台湾で長らくお世話になり、今も時々ではあるが、交流を続けさせていただいている尊敬する台湾流通の父といわれる方。台湾のコンビニ業界を大きく育て、それだけで十分、人の何十倍も何百倍も仕事をしてきたのではと思うのであるが、その職を引退されたあと、準備期間を経て、今度はスーパー業界のテコ入れに着手されて1余年。お会いしない間に新ポストに就任され、さすがの経営手腕を発揮されているなかの再会となる。いつも、会うたびに単なる世間話に終わることはなく、「自身の夢」を熱く語られる。今回も「60を越えて、新たな挑戦をするなんて・・ねと自分でも思いますが、これがミッションだから仕方ない」と笑顔で言われる。そして日本のいいところをどんどん取り入れていこうという気概も全く衰えず、今も、日本人以上に貪欲に情報をわが国収集しまくって本当によくご存じ、そして精力的にそれらを活用されておられる。コンビニだけがよくてはいけない、遅れてしまったけれど、スーパーも発展しなければ。農業も発展しなければ・・。「だって全部台湾なのですから」ここまで言えるのは政治家でもいないだろう。やってきた人だからこそ言える重みがある。
日本人は台湾人が日本を知っているように、台湾のことをよく知らない。たとえば日本人は台湾にロングステイしない・・・もっと知ってもらわないといけない・・・と、そんなことも残念そうに語られる。
使命感と情熱をもち、現実を大きく変えるための創造。本当に根っからのビジネスマンだ。しかし、そんじょそこらの経営者と違うのは利益追求だけではいけない、利他の精神こそが必要なのだという点。「来月、例のトイレ掃除の仲間が何百人も台北にきて、一緒にやるんですよ」と、穏やかな笑顔で話される。初めて出会ってから20年近くなるが、ずっと尊敬し続けることに誇りをもてる、貴重な方だ。違う会社に行かれて、またその方を尊敬する若者も増える一方だ。
規模もレベルも違うけれど、ミッション・パッション・クリエーションを継続しなければ。
オフィスがなんと台北市内の大きな観覧車の真ん前とは光栄なこと。総裁室の大きな窓から、観覧車が借景になっているこれまた素敵な空間だ。「いつも、これを見て今尾さんを思い出すよ」ああ、ありがたい。

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