工事は続くよ、どこまでも・・

かつてインドのゴアからの中継地点として西洋文化を運び、育んできたマカオ。おそらく植民地時代に、西洋風の建築、建造物が作られたことに現地の人たちの戸惑いはあっただろう。植民地とは、もちろんマイナスの意味もあるが、異文化をいやおうなく受け入れなければならないという点で、化学反応により独特の文化も生まれ、育まれ、結果的は発展する・・と、悪い面だけではない。
だから、マカオの人たちは異なる者たちへの理解・許容力も高いと思うが、久しぶりのマカオは植民地時代とはまた違う、現代の化学反応を受け入れる段階を歩んでいると痛感。もともとは確かに中国であったが、ノスタルジーなる歴史遺産の街がこの大国に返還されることにより、望んでか望まないか高速で大きく変わっている。日々、押し寄せるように大陸からの観光客がバスを連ねてやってくる。巨大カジノは久しく来ない間にボンボンって建っていき、上海で10年前見たときのショックと同じような光景を目の当たりにする。そして、工事現場に多くの労働者を見る。カジノをつくることは、雇用を生み出すということでもある。大陸とくに近くの広東からの労働者が多いだろうか。サービス業に慣れていないホテルのスタッフも広東からきていると話してくれた。ああ、マカオは変わった・・。悲しくもあり、寂しくもあり、もうここまで来たらあきらめるというか、世の中というのは決してノスタルジーだけでは終わらないものだということも痛感。全体が騒々しい。おちつかない。自己主張的で疲れる。これは元気というのとはまた違う・・。
そして、まだ海を埋め立てて、新しいカジノが生まれようとしている。人口密度も世界一らしいが、国の規模に比して工事の多さも世界トップクラスではないかと思うほど。技術的には日本の土建・建設業も多く貢献していることだろう。
この静かだった町で、どこまで工事を続けるのですか?カジノをどれだけ作って、たくさんの人々の夢を?どうなるのですか?
20年ほど前だったか、香港在住の会社の社長が週末、飛行機でマカオへ行き、大儲けとしたこともあったが最後は大損をして・・・・どん底まで行って人生を切り替え、最終的にはイギリスへ移住した・・・話も笑えない実話だ。
工事と人の欲望は比例している。本当に意味がある建築物は永遠に引き継がれる。カジノはきっとそういうことにはならないから・・わかって、覚悟して作らねば・・・。ここでも自然は大破壊されている。お金で買えないものが、どんどん失われていくのに、そこで人は一儲けしようという夢を抱き、通ってくるのだ。
2つの島が、カジノのおかげで、1つにつながっている・・・不思議だ。すべては埋め立て。
地から湧き上がるパワーではなく、上からかぶせる力。人工とは恐ろしい。今、マカオは多様なものの価値観を同時に見られる貴重な
それこそ、世界遺産の街なのかもしれない。

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