ある社長が社員さんを連れて、わざわざ私に会うために上京してくださった。たった2時間の面談、打ち合わせのために二人で新幹線に乗って・・・。なんというありがたいことかと、その時間を絶対無駄にしてはならぬと、せっかくの銀座での待ち合わせということで、こちらもお会いするカフェの選定を一工夫。こんな場所がここにあるのか~。と新しい発見をしていただけたらうれしいと思い、選んだカフェはパッケージ屋さんが始めたという、パリ生まれのおしゃれカフェ。そこにお二人がおいでになる。きょろきょろっと店内を見渡し、メニューをゆっくり見ながら「これは、なんと読むのかな」と楽しそうに、せっかくなのでケーキのショーケースを見てうれしそうに、出てきたティーポットを見て・・・とにかくすべてのモノに反応され、とても幸せにお茶とお菓子を召し上がる。その光景がとてもうれしくて、ああお招きできてよかったと思いながら、話をする。
始めて会った社員さんは、どうやら社長から予習にと渡されたのか、私のCDと本を昨日聴きながら読んでくださったようで、「なんだかとっても自然に入ってきました。気が付いたら涙があふれて・・・」とおっしゃってくださったのがとても印象に残る。そして「最初、本を読みながら音楽を流していたので歌詞は気に留めていなかったのですが、途中で気になる歌詞があり、そのあとから歌詞もしっかり聴き、これも自然に入ってきました・・・」などと感想を述べてくださる。お世辞とか作り話ではない。心からの表現だと、つい、うれしくなる。またこちらが忘れてしまっているような自分が書いた文章の一節を取り出し、「・・・と書いてありましたね。」と会話の中にそのことにも触れていただくと、これまたうれしい。思えばたった1冊の本。たかが2種類のCD。そろそろ色褪せるか・・・と思っていたが、まだまだ初めて出会う方にも、それを話題にしていただける・・・なんて、これ以上幸せなことはない。これからも自然に心に染み入る、表現を磨いていきたい。
お礼のメールに、命がけで自分たちの住む町を作ってくれた人々に感謝し、地元の役に立ちたいとも書かれており、こちらもその思いが自然に入ってくる~雪国発の発信をしたい~熱き思い、まっすぐな志。と、余韻が残る今回の出会いも、またまた愉しくなりそうだ。雪国の人と一緒にはじめるプロジェクト・・・これもまた、良い。雪解け季節だ、どんどんいこう!
「自然に入ってきました」
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