「会いに来ました!」に泣き笑い

半年前、父の入院先の病院にひとりの看護学生さんが、実地研修に来られており、父の担当になり3週間ほどお世話になった。
つらい病院暮らしのなかで、この学生さんが関わってくれたことは父にとってうれしいこと。プロの看護士さんは手慣れた感じで、父を扱うが、学生さんは不慣れな分だけ、丁寧で親切で、ひとりの人間として父に接してくれる。その優しさが父の心に沁みたようで、その研修期間は父のリハビリへの意欲もわき、刺激にもなったようだ。
もうすぐ研修が終わると聞き、その学生さんにお礼のお手紙を書き、父から渡してもらった。またいつか会えるといいと勝手に思って・・・。
でも、研修で来られているし、個人的に会えることは難しいだろう。でも、感謝は伝えておこうという気持ちで・・・。


その後、父は病院から施設に移り、新しい生活をはじめた。
やっとそれにも慣れてくれたかと思った、3月後半のある夜。
見慣れぬ名前の方からのメール。
なんと、その看護学生さんからだった。
もう学校を卒業したので、やっと連絡がとれるようになったとのことで、
手紙のお礼と、父のその後を気遣うメッセージ。
連絡がきたことに驚き、すぐ返事をする。そして、父に会いたいと言ってくれたため、施設に来ていただき、面会いただく。
4か月ぶりほどの再会。父は大変喜び、笑顔と涙で顔をくしゃくしゃにした。
「元気ですか?どうですか?」
入院時代に二人でしていたであろう、日常会話の延長がはじまり、父は大変うれしそうに話している。
この学生さんは、この春からさらに次のステップに向かって、次の専門学校に通い、正看護師への道を目指すらしい。
「元気そうで安心しました。また会いに来ますね。」

まさか、こうやって再会できるとは。お礼状書いておいてよかった。
この学生さんが早く自分で選んだ道でお仕事できるように、心から応援させていただこうと思った次第。

感謝の気持ちが伝わり、思わぬ再会になること。なんとうれしいことだろう。

普段、あまり気乗りしない歩行器を自ら使い、大切なお客様を玄関までお見送りする。

こんな父は見たことがない。本当にうれしいお客様であったのだろう。
いい思い出づくり。どんな小さなことでもいい。それが生きる糧になったり、
幸せの種になる。

まさしく、人生は観覧車だ。父の観覧車も回す手伝いをしていこう。

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