自分の会社と思って仕事する。

ここ何か月かの間、親しくなったデパ地下の販売員さんがいる。
全国でもおそらく売上トップクラスの駅前デパ地下売り場。そう、ー東京駅にあるD丸百貨店。その中のある食品店である。それは、華やかなスイーツとか、お弁当とかではなく、ある地域の特産品を販売する店舗である。地方の一企業が、東京の一等地のデパートの中に常設で売り場をもつというのは大変な力が要ると思うが、最近開店したのではなくもう何十年もテナント入りしているとのこと。
主な商品は練り物である。それに加え、その土地の特産日~漬物や煮豆など~も
販売している。

さて、その練り物を販売している女性!最近、下のお名前もわかった。
のり子さんとおっしゃる。このお店の店長のようだ。年齢はおそらく私より少しだけ上か?わからないが、声は高めで、すこぶるお元気。キビキビはきはきした接客が小気味よい。

最初、新幹線の時間待ちで、ちょっと立ち寄ったのがきっかけであったが、その商品の勧め方もよく、そしてその商品も大変おいしく、その後、東京駅を利用するたびに、その方がいるかどうかを確かめるように、店に寄るようになった。
お客さんとの対話が滑らかで、とてもトークが上手。押しつけではないが、おすすめ上手。y彼女自身がその商品を心から愛好しているという気持ちが伝わってくる。
そんなこんなで、何度も寄るうちに、すっかり覚えていただき、最近では「会いに来ましたよ」という感じで、お店に寄るのが習慣になってきた。
のり子さんは、とても喜び、とてもよくしてくださる。
「今、大変ですね。」
「そうなんですよ。2割ぐらいは減っているかという感じです。
でも、がんばるしかないですよね」
「そうそう、仕事があるのはありがたいですよね。」
「本当にそうです。私なんか、雇われのくせに、自分の会社みたいな気持ちで
やらせてもらってます」
「いいんじゃないですか。このお店ではのり子さんが社長と同じですよ」
「そうですよね。自分の会社じゃなくても、自分の会社のように思って仕事する
というのがいいですよね」
こういう考え方が、大好きだ。さすが、のり子さん。
従業員であっても、自分が任されている空間を、時間を会社を代表してがんばっておられる。だから、接客にも心と熱が入り、お客さんが付く。

今回もついつい、買ってしまった。その練りものを自宅でいただくときも、のり子さんの顔が浮かんでくる。

お元気かな?と思ってお店に足を運ぶお客さんが増えることは、お店にとって
良いチャンスになる。
やはり、店は商品だけでなく、人で決まるのだ。
おいしいものに、素敵な人。早く、お店に活気が戻りますように。

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