幼き日から観覧車に

22年前、パリのここで移動式観覧車をみつけ、思わず走りかけより、これだ!!と叫び、興奮した日が56歳の誕生日によみがえった。

あのときと同じ場所に、また今回もわが大観覧車は立っていた。20年前に見たそれよりも、真っ白で、もしかしたらホワイトクリスマスのイメージかも、そして空も冬空で、なんとも深みのある観覧車のいでたち。
迷わず乗る。すると中国人の親子連れが同じワゴンにのってきた。
本当はひとりでパリの一望を確認、撮影したかったが、この繁忙期に独り占めはできず、相席でパリ一周の小旅行が始まる。
北京からやってきた親子、お子様は4歳。騒ぐことなく、動く観覧車から、変わる車窓の風景をじっと見ていた。
彼女からすれば、景色が動くことも不思議かもしれない。
でも、いい経験をしていると思った。
私が幼き頃、気軽に乗れる観覧車・・・はなかった。

もし、幼き頃に観覧車から世界を見ていたら、世界観は変わるだろう。

人生の浮き沈み、見え方の多様性、諸行無常・・・などなど感覚的に覚えるのかもしれない。

スピードの速いエンターテイメントも確かに刺激的であるが、観覧車に乗って一緒に世界を見ることは、とてもいい教材にもなる。

子どもにとっても、大人にとってもグラン・ルーは永遠なのである。

今回も美しいパリを見ることができ、新たな挑戦への火が付いた。


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