父が入院する病院は、最寄り駅から徒歩15分から20分。
多くの人は、車で見舞い、面会に行くが、私はひたすら駅から歩く。
だからできる限り、雨以外の日に行きたい。
もともと公共交通機関を利用して移動するのが習慣になっているので
どの町にいっても、それがわがスタンダード。
毎日1万歩の記録を獲得するには、それぐらい歩くのは当たり前。
少しひなびた、昔の繁栄を過去に感じさせられる商店街を
歩き続ける。なんだかタイムトリップしたような、街並みが新鮮でもある。
シャッター街ではなく、お店もそんなに多くはないが立ち並んでいる。
でも、歩く人はおらず、お客様の姿もあまり見えない。
魚屋さん、洋品店、神社、酒屋さん、小さな宿屋、薬局、果物屋・・。
昔ながらの専門店(路面店)が続いているのがうれしい。
みなさん、よく閉店されずに頑張って営業されているな~と感心しながら、
でも、よくやっていけてるなとも思い、週に何度もこの商店街を歩く。
道を覚えるために、どこにどんな店があるかも意識して歩き続ける。
お菓子屋さんが多いことに気づく。
そして、何回も何回も通り、ついに見つけたお気に入りのお菓子屋さん。
4代目が今、東京に修行にいっておられるというから、明治時代の創業か。
決して新しいのでもなく、ハイカラでもなく、ただひたすら、昭和の匂いが
する、和洋菓子やさん。
最初、店内に入るのには勇気がいったが、一度入って、すぐにそのお店が
気に入った。そこの女将さんの接客が明るくて素敵だったからだ。
そして、お菓子もおいしい!昔から気に入っていた昭和の味。シンプルな
懐かしの味。いずれも気をてらわず、街の人に身近な感じ。
商品も、店主夫妻も、あたたかいのだ。
気が付けば、最近はその道を通るたびに、寄っている。
見舞いに行く間に、今のうちに、このお店をもっと知っておきたいという
気持ちになっている。
そんなこんなで、見舞いに行き、ちょっと重くなる気持ちを明るく
してくれるこのお菓子屋さん。
予定にないのに、ついつい寄ってしまう・・。これは道草というのだろう。
ふらふらっと立ち寄ってしまう・・。
徒歩の良さはここにある。
道草ができるのだ。
どんなに忙しくても、道草をする。
心が豊かになるなら、それもよし。
見舞いに行く道中で、いい人たちに出会えたことがうれしい。