入院中の父は、過去の人生において何か月も家を空けたことがないため、家のことが心配のようだ。
元気なときも、何をしていたわけではないが、離れるといろんなことが頭をよぎるようだ。
一報、ひとり暮らしになった母は、ひとりで家のことを切り盛りしている。たとえば、落ち葉が気になる庭の木の剪定や掃除をいつの間にか、ご近所さんにお願いして、進めている。
娘たちもできることは手伝うが、同居していない分、家に対しての思いは異なる。
母は「家を守らなあかん」と、主人が不在の今、自分がしっかりせねばという気持ちが強いようだ。
そして、見舞いにいった母に、父は「家をたのむ」
と、言葉をかけていたが、そこには夫婦ならではの会話があった。
どんなに普段口喧嘩をしていても、半世紀以上一緒に住んできた二人にとって、共通の話題、関心事は「家」のことなのだ。
夫婦の絆は、まさにここ。
家を守ることが、二人の仕事なのだ。
なぜかしら、強い絆を感じた。
早く、元気になって、元どおりになって、一緒にその「家」で喧嘩できる
日が来るように・・・。