「親の顔に、泥塗るな!」

あるタレントが今週、逮捕されたことがメディア界で騒動になっているようであるが、メディアで生きてきた人のスキャンダルというか、社会問題こそメディアの餌食・・でも、そういう職業なのだから、それは仕方ないと思うが、ちょっと冷静に横目で見ていたいとも思いつつ・・、それでも、なぜかちょっとは気になるのは、何だろう。「人間というもの」について考えさせられるきっかけになっているのかもしれない。

あるニュースでそのご本人のお父上が、テレビに出ておられ、ちょっとびっくり。顔を隠すわけでもなく、普通にインタビューに応えており、
息子に対して、ちゃんとしろということを話しておられた。

もう50代の息子は自立した社会人であるので、親としては、もう別のひとりの人間としておられるのだろうが、
社会に対し、親としてお詫びがなく淡々と語っておられた様子に、ちょっと驚いたがそれは、もう自立した存在だとすれば、いい大人になった息子のことを親がメディアで謝罪する必要もないという判断かもしれないし、ま、それはよしとして・・。

そんなことよりも、こういう場面で、年老いた親にテレビに出演させてしまっていること自体が、親不孝だなと思ってしまった。

同時に、自分の中学生時代の頃を思い出した。大した悪ではないが、当時不良といわれる格好をしている友達が多く、何かのときに、親が学校に呼び出され、親が先生に注意された。そのことに対し、家に帰ってから、めちゃくちゃ怒られ、怒鳴られた。そのときの言葉が
「親の顔に、泥塗るな~!」
であった。親を学校に行かせたこと、内容よりも先生に呼び出され、注意をされたということが、親は恥ずかしかったのだろう。

たった一回のことであったが、私はあのときの親のこわさを忘れていない。

あれ以来、親が世間に対して頭を下げなければならないようなことだけは、絶対にしてはいけない。と思うようになったのは事実。今から思えば、いいきっかけだったのかもしれない。

もう半世紀近く前のことであり、思春期はそんなこともあったと笑い話であるが、親を泣かせる子ども、にはなりたくなかったし、今もそうだ。

そう思うと、有名になることよりも、お金を稼ぐことよりも、小さなことで喜んでもらえることができるだけで、いいじゃないかとも思えてくる。

まずは、親を泣かしてはいけない。特に老いた親のことは。その人の人生を悲しい最後にさせてしまうから。

と、これも人のことであり、何も言える義理ではないが、有名人というのは
よくも悪くも、見られてしまう存在なのだ。なんともいえない大変な職業。
やっぱり、普通に生きるのがいい。




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