心のバトンをしっかり渡す、世代交代に

最近、お会いしたある企業では、この春、社長交代をされるとのことが決まった。来年で〇〇周年を迎えるそのタイミングで、新世代に経営のバトンを渡すとのこと。渡す側と、受け取る側の思いはそれぞれに深い。希望と期待と不安と心配が入り混じる。でも、どこかでけじめをつけ、不安と心配を期待に変えなければならない。という覚悟をもっての交代。
そんな節目に接し、企業の世代交代について思うことを、思うことを少し連ねてみる。

組織のトップ交代には、引継ぎ作業も多くいろいろ大変であるが、事務的な引継ぎの前に、思いをぜひ改めて共有し、それを踏まえバトンタッチしてほしい。

渡す側には・・「こういう思いで、こんな風にやってきた、そして今後もこうあってほしい。」としっかり、次のトップに伝えてほしい。
ここをきちんと伝えていないと、会社自体うまく受け継ぐことができないのではと思う。そこがぎくしゃくすると、誤解も生まれる可能性もあるし、しこりも残る。それは絶対に避けたい。受け継ぐ側は、これまでの歴史に感謝し、これまで築かれた土台の上に、今自分が立っていることを自覚し、謙虚な気持ちでスタートしてほしい。思いの共有、感謝。「よろしく頼みます」「未熟ですが、しっかり受け継ぎます」両者の心の結びがあって次へ進む。

思いが共有できたあとは、社内へのアナウンス。社長が新社長を支える、応援する気持ちでいるということを社員に伝えることで、社員も安心して、新体制に備えることができる。
あくまでも、社員に不安ではなく、希望を与えるように、伝えなければならない。そこは新旧の社長が一緒に。ここは重要な仕事だ。

そして、その次は関係者への案内、お披露目などに・・。そして本格的に世代交代、新たな出発だ。

形式的にやろうと思えば何でもできるが、とにかく全ては心から。

バトンを受け取る側には・・感謝を込めて謙虚にバトンを受け継ぎ、先代たちが大切に作り育ててきた会社を守ってほしい、その上で時代に呼応した新たな挑戦もトライしてほしい。守る、攻める。どちらも重要だ。経営者はいつも、命がけだ。

事業承継とは企業にとって、大きな曲がり角だ。受け継ぐ側は、自分の代で会社を維持発展させなければならないという大仕事に、覚悟をもって取り組んでほしい。この節目に接し、どうぞ、お互いにとって幸せな、いいリレーになるようにと、心から願っている。




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