ああしなくちゃ、こうしなくちゃ、あれもこれも。日々、いろんな欲の中で生きている。仕事の中では、駆け引きもある。今は、DEAL という言葉が、さも世の中のためになりそうな表現をされている向きもあるが、取引は、基本的に自らが利益を得るための交渉であるから、腹黒かったり、計算高くないとできないし、ビジネスの世界では生きていけない。しかし、生きていく上で、戦略や戦術ばかり求めていると、どうも卑しい人間になりそうだ。そう、戦略・戦術とも、古い男時代の遺物のようで、DEALもそのうちおっさん業界の死語になると勝手に想像しているが・・。
と、そんな世界とは無縁の世界で生きることはできないか。もちろん現代社会において経済活動はしなければ生きていけないため、まったく純粋に、ただひたすらに清い心で生きる・・というのはかなり難しそうであるが、1日1時間でも、30分でもいいから、無心になれる、あるいは何かに没頭できる時間がもてると良いと思う。
最近、35年前にピアノを教えていただいた先生と再会したが、今も先生は「音楽はお金もうけにならないのよね」と言われつつも、「でも、私はピアノが好きだから」と、にこにこされている。なんたる幸せな生き方かと、感動する。
音楽の価値とは、戦略戦術、DEALの世界とは無縁だ。もちろんこれが「音楽業界」ともなれば、別の話であるが、そこではなく、求めたいのは、無心・没頭の世界がもたらす価値。
どんなに忙しくても、どんなにハードであっても、「無心」「没頭」のひとときを大切にしたい。
純粋な気持ちで生き続けるのは難しいけれど、毎日そんなことも意識したい。